第1章で見た通り、日本の民間銀行の独自のデジタル通貨は、
三菱UFJ銀行のMUFGコインが先行し、みずほFGのJコインがそれを追う構図となっています。
しかし、先行するMUFGコインが三菱UFJ銀行単独の枠組みであるのに対して、
JコインはみずほFGに加え、郵貯銀行や他の数十の地銀との連携が見込まれていて、
利用範囲がより広がる可能性を秘めています。
現在の仮想通貨が決済手段として使いにくいために決済分野で普及していない事は、
前章で見た通りです。
その事は、デジタル通貨を利用してスマートフォン決済を日本でも普及させようと
考えるなら、使いやすさに最大限の配慮をしなければならない、
と言うことを示しています。
具体的に言えばデジタル通貨は統一されていた方がより便利であり、
仮に複数の銀行がすべて発行するとしても、皆同じように使えることが重要です。
デジタル通貨の種類や企画が違うために支払いに使えない店舗があったり、
知人間の送金ができなかったりすれば非常に不便であり、復旧は難しいでしょう。
使用規格を統合すれば共通したシステムは利用できるため、
銀行側にもコストを抑えられると言うメリットがあります。
そうした観点から、銀行デジタル通貨の連携、統一に向けた議論が進み始めています。
2017年10月には、三菱東京UFJFG (当時)、みずほFG、三井住友FGがデジタル通貨の
連携に向けた協議会を設置することになったと報じられました。
金融庁が協議会設置を促したりと言う観測もあり政府主導が窺われましたが、
その後、協議会が設置されたり、連携、統一に向けた議論が進展したりしているとの
報道はなく、連携、統一化の動きが難航しているのではないかと推察されます。
一方で、銀行デジタル通貨の統一はなされていなくても、
それぞれのスマートフォン決済に用いるQRコードを統一すると言う議論がは進んでいます。
銀行デジタル通貨を使って小売店や飲食店で支払いをする場合、
価格等の情報が記録されたQRコードにスマホをかざすだけで、
現金を使わずに支払いをする場合、価格などの情報が記録されたQRコードに
スマホをかざすだけで現金を支払わずに支払いを済ませると言う形になります。
QRコードの読み取りには、小売店が読取り機を備える方式と消費者の
スマスマートフォンのアプリを使う方法があります。
読取り機を利用する場合、銀行デジタル通貨がそれぞれ独自の企画のQRコードを
使用すると、小売店はすぐに対応する読取り機を用意しなければならず、
初期費用がかさみます。
また、例えばJコインの読取機しかない小売店ではMU FGコインが使えない
と言うようなことが起こってしまいます。
消費者のスマートフォンのアプリを利用してQRコードを読む方式の場合は、
それぞれの QRコードを客に対応するアプリをインストールしなくてはなりませんし、
使う時もアプリを使い分けなくてはならず不便です。
2018年 5月の報道によれば、 3メガバンクグループは QRコードの統一規格で
合意したとされています。
統一規格 BabkPay(バンクペイ )という仮称で、 2019年の実用化を目指すといいます。
藤原弘治全国銀行協会会長 (みずほ銀行頭取 )は、それに先立つ 2018年 4月、
QRコードの企画を統一すると「利用者の利便性が向上し、
新しいサービスへの大きな基盤となる」と、その意味を強調しています。
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