ここで、「アジアの国同士の戦争はアジアだけの問題だ。
アメリカには関係ない」と言う新孤立主義者の言い分について考えてみよう。
別段深く考えてみるまでもなく、このような考え方がいかに危険かはすぐにわかる。
最も明らかな問題は、このグローバリゼーションの時代にあっては、
アジアの戦争によって国際的な供給網に混乱が起きればすぐさま
アメリカに跳ね返ってくると言うことである。
経済がどれほど影響受けやすいものかを理解するため、タイが大洪水に見舞われ、
そのすぐ後に日本を大地震と津波が襲ったときのことを考えてみよう。
その結果、国際的な供給網は大打撃を受けて、エレクトロニクス産業と自動車産業は
深刻な供給不足に陥り、世界中のメーカーが代替品の調達に追われ、
タイと日本は深刻な失業問題に直面した。
アジアで通常戦争が勃発した場合、世界経済にどれほどの影響及ぼすか、
想像してみて欲しい。
アジアで核戦争が来た場合については、次のような単純な事実を考えてみてほしい。
死の灰はジェット気流に乗り、わずか7日でアメリカに到達する。
さらに、使用される核兵器の数によっては、世界中が核の冬に追われるかもしれない。
そんなリスクを考えた上で、70年以上にわたって平和を守ってきたアメリカの核の傘を
取り払いたいと誰が望むだろうか。
「アジアで核戦争が起きるとは思えない。悲惨な結果になるとわかっていながら
そんなバカなことをする国はない」と言う論拠はどうだろうか。
実は、そんな考えはっきりって単純すぎるのである。
例えば、韓国がアメリカ軍とその核の傘に見放されたら、次の2つは必須である。
まず、韓国はその高度な技術力を駆使して速やかに自前の核兵器を開発するだろう。
韓国は1975年に核兵器開発計画を放棄したが、それはアメリカが韓国を守ると
約束したからこそだったと言うことを忘れてはならない。
次に、北朝鮮の百万の兵士が38度線を越えて韓国に侵入したり、
平壌の独裁者がそれにソウルに核兵器を落とすと命令したりすれば
(すでに述べたように、北朝鮮に関しては文字通り「何でもあり」である)、
韓国が北朝鮮に対して躊躇なく核兵器を使用するだろう。
もちろん、日本に関しても同様の懸念がある。
すでに述べたように、アメリカ軍が核の傘を引き上げれば、
数十年の原子力産業の歴史を持つ日本は、高性能の核兵器を大量に製造できるだけの
専門知識も核物質持ち合わせている。
誇り高き侍の国、中国による屈辱と征服に甘んじるよりも、
北京の共産党指導部を叩き潰すことができれば中国国民が正気を取り戻すかもしれない、
とはかない望みにかけてでも、核戦争の道を選ぶかもしれない。
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