【日中もし戦わば】「サラミスライス戦術」と「キャベツ戦術」

それでは、中国はどのようにして南シナ海の島嶼を奪っていったのでしょうか?

中国の海洋への進出戦略の特徴として言われているのが、「サラミスライス戦術」です。

これは「サラミ一本全部をいちどに盗るのではなく、気づかれないように

少しずつスライスして盗る」と言う寓意です。

つまり、1つ1つの小さな行動を積み重ねていき、

気がついてみたらすっかり変わっていたと言うことを狙うのです。

この場合の武器は“時間の経過“です。

ゆっくり、かつ着実にサラミの1枚1枚を侵食していくわけです。

では具体的にどうやるのでしょうか?最初は、漁船です。

いかにも漁猟のためとして、狙った岩や岩礁の近海にやってくるのです。

しかし、漁船には民兵が載っていたりします。

最初は2、3隻でも、やがて船団となり、ついには何百昔の大船団になったりします。

そうなると、中国海警局の巡視船(ようするに「公船」)が漁船と漁民を

守ると言う口実でやってくるのです。

公船のによる常続的な哨戒活動が始まります。

そういうことが続くと、この状態が当たり前になり、

だんだん、他国の漁船が近づけなくなります。

そのうち、中国公船は近づいてくる他国の漁船に海域からの退去を求めるようになります。

これは、海洋法令執行活動といい、自国領域であることのアピール行動です。

この段階で阻止しないとでも中国公船の活動は大っぴら、

「ここは中国領、中国の主権が及ぶから、警察権を行使する」と言うことになります。

ここまできたら、「キャベツ戦術」が始まります。

漁船、公船の後方に戦闘艦を待機させ、岩や岩礁をぐるりと囲んで、

他国の漁船を締め出してしまうのです。

こうした様子が1枚包み込んでいるキャベツの葉に似ている、

これを「キャベツ戦術」と言うことになったのです。

こうされると、他国の漁船が自分たちの漁場まで行くことができません。

となれば、後は、島や岩礁に上陸して、そこに建物を築いたりして

人工島を建設すればいいわけです。

前記の通りフィリピン領だった中沙諸島のスカボロー礁は

まさにこうして奪われてしまいました。

現在、中国にこの戦術を仕掛けられていうのが、尖閣諸島であるのは言うまでもありません。

中国はこうしたやり方なら、アメリカが動いてて来ないことは学習しています。

何しろ、ワシントンDCから見たらとるに足らない岩礁、岩にすぎないのです。

ニュースにもならないので、アメリカで中国非難の世論が起こることもありません。

こうして海洋進出に自信を持った中国は、南シナ海全域の支配を完成させるため、

人工島の造成に踏み切ったのです。 

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