現金を所有することができますが、ある特定の「一万円札」の持ち主が自分だと
名乗ることができません。
お札に所有者の名前が書いてあるわけではなく、この10,000円札も札も
あの10,000円札も誰ものでもないからです。
たまたま手にしたその人が一時的に「10,000円と言う価値」を所有しているに過ぎないので、
どこかで使われてしまっても、この「この10,000円札は私のだから返して」と言う
理屈は通じません。
また、自分で働いて得た10,000円も、投資でもうけた10,000円もギャンブルで
買った10,000円も、盗んだ10,000円も、全て同じ10,000円であって、
そこに違いはありません。
「現金に色は無い」のです。
「暗号通貨」であるビットコインも「名無しの権兵衛」であるところまで同じですが、
「電子署名」と言う暗号技術によって、現在の所有者に無断で送金できないように
なっています「( 177ページ参照)。
Aさんが所有するこのビットコインが、Aさんの許可なく、
勝手にBさんのものにすることができません。
それだけではありません。
ビットコインには、過去の全ての所有者の名前が記録されています。
このビットコインは最初はAさんの手元にあり、次にBさんの手に渡り、…
現在はXさんのものである、と言う消費者の遍歴がわかるようになっているんです。
そのため、ビットコインはどういう取引を経由して現在に至ったのか、
必要があれば、後からさかのぼって確認することができます。
このような性質があるため、実は、ビットコインを始めとする仮想通貨は、
マネーロンダリングのような不正操作に悪用されにくい事は、意外と知られていません
(178ページ参照)。
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