【日中もし戦わば】トランプ政権は「対中強硬路線」を取るのか?

まずは、日本を取り巻く世界情勢をざっと展望してみたいと思います。

 そうしておかないと、わが国の周辺だけの狭い視野で安全保障を

考えてしまうことになりかねないからです。

 現在の世界で、一国だけで安全保障を成り立たせる事は不可能です。

 アメリカのような世界覇権国家、ロシアや中国のような強権的軍事国家を除いて、

世界各国は同盟関係を築き、集団的自衛権の中で自国の安全を確保している状況です。

そうした中、安全保障環境が、日々刻々悪化しているのが、

日本が位置する東アジアだといえます。

 現在、この地域では、中国が海洋拡張政策を強行し、

北朝鮮が核兵器開発に血道をあげています。

 これが続く限り、いつ何があるいつ何があってもおかしくない状況になっています。

 2017年1月に誕生したアメリカのトランプ政権は、

日本が望む日米同盟の強化に合意し、対中強硬路線を取ろうとしています。

 4月6・7日、トランプ米大統領は、日本の安倍首相に続いて、

フロリダ州パームビーチの別荘に中国の習近平国家主席を招き、米中首脳会談を行いました。

「偉大なアメリカの復活」を掲げるトランプ大統領と「中華民族の偉大な復興」を

国家目標とする習近平国家主席との会談は、「大きな棍棒を携え、穏やかに話す」との

セオドア・ルーズベルト大統領が引用した諺を象徴するかのような、

大国間の利害が衝突する硬軟両様の厳しい外交の始まりとなりました。

 もはや、両国の関係はオバマ前大統領が目指した「戦略的再保証」と言う関係には

戻りようがありません。

 オバマ前大統領は中国の台頭を容認しながらも、地球規模での安定と平和を共に

目指そうと言う“融和的態度“を示しました。

 しかし、中国がアメリカの覇権に挑戦すると言う姿勢をとる限り、

今後のアメリカこれを受けて“強硬策“に出るに違いないでしょう。

 また、中国も現在の姿勢を変更する事はありえないでしょう。

 さらに、日本にとってもう一つの大きな懸念があります。

 それは、北朝鮮が核開発を止めないことです。

中国の拡張政策と北朝鮮の核開発は、かつてないほど東アジアの緊張を高めているのです。

 この東アジアで、トランプ政権下のアメリカが、どのような軍事戦略をとるのは

未だ定かではありませんが、オバマ前政権で打ち出された米軍の「リバランス政策」は、

その呼び方を変えたとしても、実行されていくでしょう。

 リバランス政策と言うのは、米軍の世界戦略を見直しその中心アジア・太平洋地域に

シフトすると言うものです。

 そのために日本・韓国・オーストラリアなどの同盟国との関係を再強化するものの、

中国のミサイル攻撃等を回避するため、前方展開中の「空母打撃群」を始めとする

米海軍主力を「第二列島線」(中国が主張する防衛ライン、第3章で詳述)以遠へと

後退させ、「長距離打撃」、「長期戦」を基本とする戦略転換しようと言うものです。

 空母打撃軍と言うのは、昔で言えば空母と護衛艦隊で構成される機動部隊ですが、

米軍の場合、一隻の空母を中心にして、複数の護衛艦、潜水艦、補給艦艇によって

構成されています。

日本の横須賀基地には、第7艦隊所属の原子力空母「ロナルド・レーガン」を旗艦とする

第五空母打撃軍が常駐しています。

この空母打撃群には、軍事的プレゼンスの中核をなすものですから、

使い方1つで戦略が大きく違ってきます。

 トランプ政権は、軍事予算を拡大させ、海軍を増強するとしていますが、

それがこうした戦略にどう影響するかは今のところ未知数です。

2017年の正月早々、中国の唯一の空母「遼寧」は、南シナ海で艦載機の

発着艦訓練を繰り返すと言うデモンストレーションに出ました。

 これに対抗して、アメリカはサンディエゴの海軍基地から空母「カール・ビンソン」を

旗艦とする第一空母打撃群を出撃させ、ハワイ、グアムを経由して南シナ海に向かわせました。

果たして、トランプ大統領はこのような対抗措置を今後も積極的に行うかどうか?

まだ明らかではありません。 

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