【日中もし戦わば】対中国「関与」政策から「対抗」政策への転換

これまでのアメリカ歴代政権は、どちらかと言えば中国に寛容であったといえます。

 中国は経済発展に伴って認識が進み、やがて世界平和に責任を持つ国になり得ると、

アメリカ人の多くが考えてきたからでしょう。

 オバマ前大統領の、当初はそう考えていたようです。

 しかし、大統領任期の後半あたりから、オバマ前大統領の中国に対する認識は

大きく変わりました。

 それまでのアメリカと言えば、クリントン政権時代からついてきた

「戦略的パートナーシップ」と言う考え方で中国と接してきました。

 ソ連との冷戦に勝利し、事実上のスーパーパワーとなって世界覇権を握ったアメリカには、

まだまだ余裕があったからです。

しかし、急速に力をつけ、世界第二の経済大国まで上り詰めた中国は、

胡錦濤政権になって、突如「G2論」を提唱しました。

これは、世界はアメリカと中国の2国(すなわちG2)で分割して仕切ると言うもので、

とてもアメリカが受けられるものではありませんでした。

 こうして、2011年11月、オバマ前大統領は、オーストラリアの議会の演説で、

アメリカの対中戦略の転換を宣言したのです。

膨張を続ける中国に対し、これまで通りの「寛容政策」は捨て、「抑止政策」を取ると

述べたのです。

 これが、前記したアメリカのリバランス政策の始まりです。

オバマ前大統領の演説からしばらくして、アメリカ国防総省は中国の軍拡に対抗するための

「エアシーバトル」と呼ばれる新作戦構想を打ち出しました。

 これは空軍、海軍、陸軍、宇宙軍、サイバー軍などの相互連携深めて、

中国の「接近阻止●領域拒否」戦略に対抗すると言うのです。

 この2つの戦略「エアシーバトル」と「A2/AD」に関しては、第3章と第4章で

詳しく解説するので、ここでは、米中の関係が競争から対立関係になったことを

強調しておきます。

もちろん日本は、必然的にアメリカと協調して、中国と対抗していかざるを

えなくなったわけです。 

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