アメリカの政権内では、これまで、中国に対して友好的な勢力(親中派)と
強行的な勢力(対中強硬派)がせめぎあってきました。
前者を「パンダハガー」と呼び、後者を「ドラゴンスレイヤー」と呼びます。
この両勢力の微妙なバランスによって、これまでの対中国政策が推進されてきたわけです。
ところがトランプ政権では、パンダハガーがほとんどいません。
圧倒的に多数のドラゴンスレイヤーが入閣しています。
その筆頭は、なんといっても米メディアから“影の大統領“とまで言われている
首席戦略官・上級顧問のスティーブン・バノン氏でしょう。
彼は「オルトライト」と言う極右義者で、徹底した白人至上主義者ですから、
白人以外の国、それもアメリカの競争相手の国に対しては徹底的な強硬策に出るのは
間違いありません。
もともと彼は海軍の軍人であり、軍事的にもタカ派です。
バノン氏に続くのが、新設の国家通商会議議長のピーター・ナバロ教授です。
彼は、「アメリカが患っている数々の問題は、すべて中国のせいだ!」と発言するほどの
ドラゴンスレイヤーで、その著書「中国による死」を本にした
ドキュメンタリー映画まで作っています。
また、著書「米中もし戦わば」(文芸春秋、2016)では、
中国には戦わなくして勝たなければならないとし、情報戦、経済外交、
その他の抑止力なども含めたあらゆる国家総合力を持って立ち向かえと主張しています。
この2人に続くのは、USTR (米国通商代表部)代表のロバート・ライトハイザーです。
彼は米鉄鋼業界の主任弁護士を務めた辣腕で、
「中国はWTO加盟国としての責任を果たしていない」と、
中国への反ダンピング課税を主張してきた人物です。
以上は、ともに主に経済・外交分野ですが、軍事部門でもドラゴンスレイヤーの
タカ派ばかりです。
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