ここで、世界経済に目を転じると、19世紀経済を索引したのは英国中心の欧州でした。
そして、第一次世界大戦から冷戦終結に至る20世紀は、アメリカが牽引し、
日本も加わった西側世界が世界経済の中心です。
しかし、21世紀は中国の発展に伴い、東南アジア諸国(アジア諸国)、
インドも発展しているので確実に「アジア太平洋・インド地域」が
世界経済の中心となってきました。
こうなると、政治・軍事の面でも大きな変化が起こります。
パワーバランスが変化するからです。
例えば、ハワイに司令部おくアメリカ太平洋軍の担当地域も、
かつては南アフリカのケープタウンまでありましたが、
現在は太平洋・インド洋・オセアニア地域になっています。
アメリカはこのエリアを1つの地域として捉え、戦略を構築しているのです。
ちなみに、日本はアメリカ太平洋軍の担当区域内にあります。
パワーバランスの変化により、アジア太平洋・インド地域の国々は、
それぞれが国益に即した戦略を立てるようになりました。
例えば、インドはアフリカ東海岸から太平洋までを戦略地域としていますが、
特にラッカディブ諸島やアンダマン・ニコバル諸島を重要なシーレーン(海上交通路)の
要所として重視するようになりました。
ラッカディブ諸島の南方にはモルディブがあり、その間を大型タンカーなどが航行しています。
そしてその東側では、マレー半島とスマトラ島を隔てるマラッカ海峡が
インド洋~南シナ海~太平洋を結ぶシーレーンの要所として、
ますます重要視されるようになり、したがって、その出入り口にある
アンダマン・ニコバル諸島は戦略的に重要な位置を占めています。
一方、オーストラリアも海上輸送による貿易相手国の上位10カ国を
アジア太平洋・インド地域の国々が占めており、この地域の一員として
防衛戦略を構築しています。
オーストラリアでは防衛における重要地域を「豪本土とその周辺地域」、
「東南アジア海域と南太平洋を含む周辺地域」、「インド・太平洋地域と世界」の
3つに分け、戦略を立てています。
北には東南アジア諸国があるので、地政学的に中国の脅威を直接受ける事はありません。
しかしオーストラリアは「中国の影響力が大きくなると、オーストラリアにも
その脅威が及ぶだろう」と考えるようになったのです。
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