中国が設置した防空識別圏は、当然ながら尖閣諸島の上空までカバーしています。
これを中国は「東海防空識別区」と呼び、設置と合わせて
「東海防空識別区航空機識別規則」と言う独自のルールを公告しました。
各国にこれに従えと言うのです。
さらに、この「東海防空識別区」が異常なのは次の(10)の地図にあるように、
韓国、日本、台湾のすべての防空識別圏と重複していることです。
「ADIZ」は、各国が安全保障の観点から、「領空」(領土もしくは内水上の空域)とは
別にその外側に隣接して設定した区域のことです。
ADIZでは常時防空監視が行われ、各国は飛行計画(経路、目的地など)を提出せず
ここに侵入する航空機には、識別と証明を求めることになっています。
その際、領空侵犯の危険があると認めた航空機に対しては、
警告の上、軍事的予防措置等を行使することもあり得るのです。
日本は、1958年に国籍不明機に対する対領空侵犯対処を米軍から引き継いで導入しています。
そして、1969年に「防空識別圏における飛行要領に関する訓令」(防衛省訓令第36号)の
第2条に基づいて、その範囲を確定しています。
この日本のADIZに外国航空機が侵入した場合、
まず当該航空機に対して飛行計画の提出を要請します。
これに応じない国籍不明機があれば、スクランブル発進した自衛隊が
目標を識別してその動静を監視します。
スクランブルの任務は単純で、目標が進路を変更して領空侵犯する恐れがないことが
確認されれば、発進基地へ戻るわけです。
だから、簡単に言えば、日本のADIZへの侵入機は、ADIZ内であっても
公海やEEZ上空における飛行の自由が保障されています。
とは言え、2014年度における中国に対するスクランブルの回数は、
ロシア軍用機に対する437回を上回る464回を数えています。
中国は、日本のADIZへ侵入することによって、航空自衛隊の能力を探るとともに、
示威行動を繰り返しているのです。
こうした中、設定された中国のADIZは、前期したように他国が設定した
ADIZと異なっています。
一言で言うと、中国のADIZは領空と同じような意味合いがあり、
公海やEEZの上空における飛行の自由に反しているのです。
もし、それが適合された場合には国際法上の不法行為となり得るものですでは、
中国はこのようなADIZを設定したのでしょうか?
それは、間違いなく、尖閣諸島の領空における航空機の飛行を阻止することで、
尖閣諸島が自国領土であるとの主張を正当化しようと狙ったものです。
しかし、日本のADIZと重複するため、双方の出方次第では、軍用機同士の不足
の事態が発生してもおかしくありません。
また、日本が尖閣諸島の久場島と大正島を射爆場とし在日米軍に貸与していることから、
中国軍機と米軍機の不足事態が発生する可能性も考えられます。
実際、日本と中国のADIZが重複する区域において、
すでに自衛隊機と中国軍用機が異常接近する事態が2回も発生しています。
2014年5月24日と6月12日、自衛隊の「OP-3C」及び航空自衛隊の「YS-11EB」が、
中国軍の戦闘機「SU-27」2機により異常接近を受けています。
また、米軍機に対する中国軍機の異常接近事案も何度か発生しています。
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