このように自衛隊配備を強化していますが、現状では、尖閣諸島を守り切れない
と言う「致命的な欠陥」を、日本は抱えています。
それは例えば日本の領海に侵入してきた外国の武装勢力に対して、
武力で対抗する法的整備ができていないと言う点です。
自衛隊と言うれっきとした軍事組織があるんではないかと言う人がいますが、
自衛隊が出動するための法的根拠は無いのですから、自衛隊は使用できないのです。
現在、尖閣海域では挑発の最前線いるのは、海上保安庁ですが、
これは警察と同じですから、中国公船に対して「日本の領域に入るな」、
「日本の領域から出て行け」と言う警告しかできないのです。
よく「グレーゾーン事態」と言うことが言われますが、
これは海上保安庁や警察では対処できない緊急事態なのに、
自衛隊の防衛出動も発令されない状況を指します。
中国は、いきなり人民解放軍を投入してはきません。
海上民兵が乗った漁船、海警局の公船で準軍事的作戦を展開してきます。
これはアメリカでは「戦争に至らない準軍事作戦」あるいは「準軍事手段を活用した
戦争に至らない作戦」(POSOW)と呼んでいます。
孫子の兵法にあるように、中国は、「戦わずして勝つ」の伝統をもっている国です。
こういう国に対して、日本の防衛体制は不備としか言いようがないのです。
ある日突然、海上民兵が乗った武装漁船が魚釣島に押し寄せ上陸を開始するかもしれません。
その時、相手が海上にいて何者かわからない状況では、
まずは海上保安庁が対処するしかありませんが、
装備が貧弱で武器使用の権限もないので、何もできません。
と言うより、もし中国人が泳いで上陸しようとしたら、
人道法上上陸させざるをえなくなります。
上陸後は、「入管難民法」(1951年)に基づき不法入国者として
取り調べるということになりますが、海上保安官の指図が拒否された場合、
対応は極めて困難です。
自衛隊にしても、現在ある「海上における警備行動」(自衛隊法第82条)だけでは
対処不能です。
また、「武力攻撃事態対処法」(2003年)が適用される武力攻撃予測事態と
みなすことができるかどうかも分かりませんとなると、
もし突如攻撃された時は、海上保安庁の巡視船は全滅してしまうかもしれません。
こうした事態に対処するために、世界各国が準軍事的組織としての
沿岸警備隊がありますが、日本にはありません。
そこで、現在、政党間で審議されてるのが「領域警備法」と言う法案です。
与野党では法案の内容をめぐって温度差がありますが、
要は、海上保安庁の任務遂行にあたって必要な「武力行使」の権限を与えることであり、
その武力は相手を「撃沈」までできる能力でなければならないと言うことです。
しかし、この法案がいつできるか全く分かりません。
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