2014年6月24日、中国政府は新たな領土地図を公表しました。
以来、この地図が中国の主権が及ぶ範囲(=領土)を示すものとして、
中国では公式に使われています(11)の地図がそれです。
この公式地図が、従来のものと大きく違うのは、次の3点です。
(1)従来の横型地図から縦型地図に変更されたこと
(2)南シナ海を「九段線」で囲い込んだこと
(3)台湾の東に「10段目線」を加えたこと
なぜ、中国はこんなことをしたのでしょうか?
(1)に関しては、海洋大国をアピールしたかったからです。
従来は、大陸本土を重視した横型だったものを、
海洋部は大陸本土と同縮尺で表示した縦型にしたのですから、その意図は明白です。
そのため、(2)の九段線の強調となりました。
九段線と言うのは、その形から「牛舌線」とも呼ばれ、地図で明らかなように、
南シナ海のほぼ全域を占めています。
中国は、ここを「自分の海」だと改めて強調したのです。
そして(3)の台湾の東に書いた10段目の先ですが、
これも同じ意図で台湾が中国領であることを改めて示したわけです。
さて、この3点のうち、最も重要なのが、九段線です。
なぜなら、この九段線と言うのは中国の一方的な主張に過ぎず、
国際法上認められたものでは無いからです。
九段線は、文字通り、点線の数が9つあるのでそう呼ばれていて、
実は台湾の国民党政権が1947年に作成した地図で最初に示したものです。
ただ、この地図には「11段線」として書かれていました。
それが、1953年に共産党政権が出した地図で、九段線になりました。
中国は当時の北ベトナムとの関係に配慮し、トンキン湾に書かれた二本の線を消したのです。
以後、中国は、「九段線」の主張を裏付ける国内法の整備を進め、
1958年9月に発表した「領海宣言」で、南シナ海の大部分を自国の領海と
宣言したのです。
しかし、当時の中国はまだ貧しい途上国で、海軍力もあまり強くありませんでした。
ですから、中国の主張など、国際社会は気にもとめなかったのです。
しかし、現在は違います。
現在の中国は、この九段線の内側を力によって、本当に内海化しようとしているからです。
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