2010年5月、習近平国家主席はCI CA (アジア信頼醸成措置会議)において、
アジアの安全はアジア人民が守るべき」と言う「新アジア観」を提唱しました。
これは言ってみれば、アジアから排除することを意味しており、
中国がアジアの盟主であると宣言したようなものです。
そうしたアピールを現実化するために、中国はFTA AP (アジア太平洋自由貿易圏)構想の
実現に向けて動くようになりました。
これは、現在、アジア太平洋圏に存在する各種の国連各地の国際連携の
最終ゴールとなるものですが、中国とアメリカがFTAを結ぶ必要があることから、
実現は極めて難しいと考えています。
それでも、実現に向けて動くのは、「強中国夢」と言う国家目標のためです。
今あるアジアを含む環太平洋圏の最も大きな国際連携はエイペック
(アジア太平洋経済協力会議)です。
ここには、わが国はもとより、アメリカ、ロシア、中国、アシアン、中南米諸国など
21の経済主体(エコノミー) (13)が、その参加国。
APECは経済協定ですから、域内の貿易投資の自由化を目指していますが、
規模が大きすぎてあまり進展していません。
また、香港や台湾も参加しているので中国にとっては居心地が悪く、
最近は、単に首脳が集まるだけの会議となっています。
そんな中でできたのはTPP (環太平洋パートナーシップ協定)でした。
しかしなんと、トランプ大統領によってアメリが真っ先に離脱してしまい、
宙に浮いてしまいました。
ただこのことは、参加しなかった中国にとっては朗報です。
なぜなら中国は自身が主導できるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に
参加しているからです。
RCEPには、中韓とインド、オーストラリア、ニュージーランドに加え10カ国が参加しています。
つまり、アジアの環太平洋圏にある国々は皆参加しているわけで、
アメリカをアジア圏から排除していくことが可能になります。
要するに中国は、国際社会の枠組みを中国主導で作り替えようとしているのです。
歴史学者のポール・ケネディーは「大国の興亡」(草思社、1993)で、
「台頭した大国はすべて、古くから根を下ろしている大国の既得権に沿うように
作られた国際通秩序の再編を望むもの」と述べています。
まさにこれをやろうとしているのです。
以上は、中国から見て東方を意識した戦略ですが、西方を意識した戦略は
もっと露骨かつ強力です。
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