【日中もし戦わば】西への派遣拡張を目指す「一帯一路」

中国の西方戦略の代表的なものがシルクロード経済ベルト構想(「一帯一路」)です。

 これは、主に資源エネルギーの確保を中心とする巨大経済圏構想ですが、

(14)の地図にあるように、同構想は「陸路」(=シルクロード経済ベルト)と

「海路」(= 21世紀海上シルクロード)に分かれています。

 陸路が「一帯」で、海路が「一路」と言うわけです。

 このルートに沿って、中国は西方拡大をしていこうと言うのです。

 2015年12月、この戦略を実現するための金融機関として、

AI IB(アジアインフラ投資銀行)を発足させました。

構想段階から世界中に出資を呼びかけて英国やドイツなども参加することになりましたが、

アメリカと日本は参加しませんでした。

 なぜならこれはIMF (国際通貨基金)とADB (アジア開発銀行)と言う、

すでにある国際金融と経済の枠組みに対する公然たる挑戦だからです。

 また、ドル基軸通貨体制に対する挑戦でもあります。

 「一帯一路」と言うシルクロードの起点は、公式の構想図では陸路は西安、

海路は福州となっていますが、その先はもちろん北京です。

 陸路のシルクロードは昔からあったわけですが、海路のシルクロードはありません。

 中国が新たに構想したものです。

 その線は、南シナ海からアラビア半島に至るシーレーンがさらに伸びて

北は地中海に入ってイタリアのベニス、ケニヤのナイロビにまで達しています。

 ここでの問題は、インド洋のルートです。

 中国は、ミャンマーやバングラデシュに投資し、中国の艦隊も帰港できる港湾建設を

支援しているからです。

 上の(15)の地図を見てください。

 この地図にあるミャンマーのシットウエ、バングラデシュのチッタゴン、

スリランカのハンバントゥダ、パキスタンのグアダルがそうした港湾です。

 これらの港湾を結ぶ線は、インドを囲んだ首飾りのように見えることから、

「真珠の首飾り」と呼ばれています。

このように取り囲まれたインドは面白いはずがありません。

 インドは、アフリカ東部やアシアン諸国と連携を深める戦略に出て、

これは真珠の首飾りに対して、「ダイヤのネックレス作戦」と呼ばれています。

 インド洋はアメリカ海軍の作戦地域でもあります。

インドまでは、日本の横須賀港を母港とする「第7艦隊」の担任海域であり、

アラビア海、ペルシア湾、紅海などは

バーレンのマナーマを母港とする「第五艦隊」の担任海域です。

 さらに、インド洋の真ん中の上のディエゴガルシア島には、アメリカの軍事基地があります。

それを承知で、中国海軍はインド洋まで進出しようとしているわけです。

 シルクロードは、中露の協調提携関係があるため、現在のところ障害はありません。

 2015年5月に、プーチン大統領は中国の「一帯一路」との連携を打ち出しています。

 さらに、2019年6月、プーチン大統領はインドなどを取り込み、

「大ユーラシア経済パートナーシップ」と言う構想を発表しています。

 こうした中露の動きは、明らかに既存の日米欧主導の秩序に対する挑戦です。

 2049年、アメリカを超えるスーパーパワーになる中国の野望が、

確実に進んでいることだけは確かです。

 このような中国の野望は、日本にとっては「悪夢」です。

 最悪の場合、日本は事実上の中国冊封体制下に置かれ、

中国の属国になりかねないからです。 

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