中国が人工島を造成しているのは、南沙諸島で占拠する7箇所の岩や岩礁です。
すなわち、クアルテロン礁(華陽礁)、ファイアーリークロス礁(永暑礁)、
ガベン礁(南薫礁)、ジョンソン礁(赤瓜礁)、ミスチーフ礁(美済礁)、
スービ礁(渚碧礁)、ヒューズ礁(東門礁)です。
中国は2014年半ば以降、これらの岩や環礁に大規模な埋め立て工事を行い、
人工島を造成してきました。
このような人工島の造成は国連海洋法条約に照らして違法ではありません。
しかしながら、ただの岩や環礁が、もはや原型をとどめない、
回復不可能な形状に作り変える事は、海洋環境上大きな問題があります。
さらに、これを軍事基地化することが、周辺諸国に大きな影響与えます。
当初は、中国は、人工島の造成を、例えば灯台、漁民のための台風避難上、
気象観測所や捜索救難施設などの公共財を提供することが目的であると主張しました。
確かに、スービ礁、クアルテロン礁などには灯台が建造されました。
しかし、その一方で、当時の人民解放軍副参謀長は、
2015年5月31日のシンガポールでの安全保障会議で、
「埋め立ては中国の軍事、防衛上の所要を満たすためである」とはっきり述べたのです。
例えば(20)ファイアリークロス礁には、すでに長さ3000メートル級の
滑走路が完成して中国軍機が何度も離着陸しているのが確認されています。
この滑走路は中国が保有するすべての軍用機が離着陸可能で、
これによって海南島基地からの飛行機によるロジスティック(兵站)が可能になりました。
また、ここには、大型港湾施設が整備されて南シナ海で
最大の面積を持つ中国の完全な軍事基地となっていることがわかります。
ファイアリークロス礁と同じようにミスチーフ礁、スービ礁も滑走路と
港湾設備が作られています。
それだけではありません。
中国は、人口頭にミサイルも配備しているのです。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CS IS) 2017年3月27日に
公表したところによれば、3000メートル級の滑走路を持つファイアリークス礁、
ミスチーフ礁、スービ礁の各人工島で
作戦機24機を格納可能な大型格納庫が完成し、また長距離地対空ミサイルを
格納できる約20の開閉式の屋根がついた構造物も完成しているのが確認されました。
CSISによれば、いつでも作戦機や地対空ミサイルを
配備できる状態になっているようです。
(21)は、中国が7つの岩や低潮高地に造成した人工島の軍事装備や施設等の配備、
建設状況をまとめたものです。
そして(22)が、南沙諸島の各国の支配図です。
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