【日中もし戦わば】南シナ海トライアングルを完成させたい中国

ここで(18)の地図をもういちど見てください。

 そして、次の3点を結ぶ線を、頭の中で引いてください。

 西沙諸島のウッディー島、南西諸島で滑走路を持つ3つの人工島(ファイアリークロス礁、

スービ礁、ミスチーフ礁)、そして中沙諸島のスカボロー礁の3点です。

 この3点を結ぶと、南シナ海にイメージ上の「トライアングル」ができあがるのが

わかると思います。

これが、中国の目標なのです。

 西沙諸島のウッディー島は、すでに1000人以上の人口を擁し、町ができています。

 港湾施設も滑走路もあります。

 中国軍の基地も整い、長距離地対空ミサイルや戦闘機も配備されています。

 そして、南沙諸島のファイアリークロス礁などの岩礁群に築いた人口島はほぼ完成し、

軍事拠点として機能するようになりました。

さらに、スカボロー礁が滑走路を持つ人工島に作り替えられれば、

南シナ海にそれぞれ航空基地を持つ上記の「トライアングル」が完成します

スカボロー礁は2012年にフィリピンから奪った岩礁ですが、

中国がここを人工島に作り替えるかどうかは、今後の大きな注目点といえます。

こうして、南シナ海トライアングルが完成すると、「A2/AD戦略」の実行が可能になります。

 なぜなら、人口島には必要な軍備、施設がすべてあるからです。

 港湾設備、滑走路はもとより、レーダー施設、電子傍受システム、地対空ミサイル、

対艦巡航ミサイルも備えることができます。

 さらには防空識別圏(AD IZ)の設定であれば力の支配は完成します。

 つまり、南シナ海トライアングルは、中国による南シナ海の内海化の総仕上げなのです。

 南シナ海の戦略的価値についてこの章の最初に述べましたが、

それはこの海域はSL BM搭載の原潜(SS BN)の潜伏海域になるからです。

 その意味で言うと、スカボロー礁は非常に重要です。

 なぜなら、スカボロー礁は太平洋へ進出するための重要ルートであるバシー海峡

近くにあるからです。

 つまり、中国原潜はここに配備される航空機や艦艇の援護下で、

太平洋へ出ていくことができるからです。

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