こうした中国の戦略に対抗するため、今アメリカが掲げているのは「第三次相殺戦略」です。
この「第三次相殺戦略」が、具体化されてくれば、アメリカは再び軍事的優位を得て、
ロシアや中国に差をつけることができます。
大国には同等の戦力だと緊張関係が増大しリスクが高まりますが、
アメリカが1本抜きんでれば、大国関係は安定化するとみられています。
1016年9月21日、アメリカ空軍協会の航空宇宙&サイバー総会に出席した
ロバート・ワーク国防副長官は、「第三次相殺戦略」に取り組む3つの理由を
次のように述べています。
①アメリカ軍は戦力の大半はアメリカ国内に置いているが、
これは将来大規模紛争が起こりそうな地域に終結させるのは難しい。
そのため、緒戦の段階で敵が時間や空間、戦力の数で優位に立つ可能性が高い。
②敵もアメリカ軍と同等あるいはそれに近いレベルの誘導兵器を保有し始めている。
③敵は、アメリカ軍が「第二次相殺戦略」で提唱したネットワークや
宇宙アセットをもとに装備や武器を揃えていることを熟知しており、
これに対抗するためのサイバー戦や、電子戦、宇宙兵器を準備している。
アメリカ側も軍事的優位性が低下しつつあることを自覚しており、
新たな優位性を得るために「第三次総裁戦略」の構築を進めているのです。
空軍が、戦域ネットワークの機能・功二んせい抗堪性を向上させるために
AIや自立システムの導入を検討しています。
また海軍は、電磁スペクトラムで軍事的優位性を得る電磁機動戦を提唱しています。
空軍が戦域ネットワークを構築すれば、海軍や陸軍もそれにならって次会えます。
ハリス太平洋艦隊司令官は「陸・海・空にこだわるべきではないと」と述べ、
陸・海・空の領域をまたぐ「クロス・ドメイン」の重要性を唱えています。
また、自分たちの情報通信を敵に知られるのを防ぐため、仮想空間を作って
相手がその中に入れないようにしなければなりません。
こうしたせめいぎあいが電子空間・サイバー空間で繰り広げられており、
そこで勝利を収めなければならないのです。
まさにこれが電子線・サイバー戦の一種なわけですが、こうした前哨戦で勝たないと
本線も勝てないので、電子・サイバーの分野にも力を入れています。
一方、アメリカは、「第三次相殺戦力」を進めていく上で、問題点や不安を抱えています。
例えば、中国側にアメリカの前方展開基地や部隊を攻撃したいと言う強い思いがあります。
また日本を始めとする同盟国が、アメリカの安全保障のコミットメントの信頼性に対して
疑問を持ち始めていることも認識しています。
さらに敵に近い港や空港が攻撃に対して脆弱であったり、
水上艦艇や空母は発見されやすいなどのリスクもあります。
同盟国や友好国が、このようなアメリカの問題点や不安を共有せず、
共に解決する努力を惜しむようであれば共同防衛が成り立たないのです。
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