【日中もし戦わば】対中戦略における日本とアメリカの認識のズレ

中国軍が短期・高烈度決戦の局地戦において勝利を目指している事は、

日米共通の認識です。

この曲線と言うのは、第一列島線の国々に対する直接攻撃ですから、

日本に被害が及ぶ可能性は限りなく高くなります。

ただし、アメリカは対中戦では長期戦に持ち込み、

疲弊させて勝利を掴み取ることを目標としています。

 「中国の海・空軍が出てくるのを食い止めて、短期線で決着をつける」と言う

日本が理想とする戦略は、軍事的合理性を追求するアメリカとの認識のズレとなって

表面化しています。

 そのため、日本は同盟国であるアメリカが応援に駆けつけるまで、

中国軍の攻撃に耐え、戦い続けなければなりません。

 防勢と攻勢のイメージを(28)に示します。

 アメリカは圧倒的な核戦力を持っています。

 しかし、中国も核兵器を持っているので、全面戦争になればお互いに都市を

核攻撃し合い、破滅的な結果をもたらす可能性も考えられます。

一方中国が通常戦略を持って米本土を攻撃する事は現実的ではなく、

したがって、核抑止が有効に働けばアメリカ本土の安全は十分に確保されます。

 こうした作戦・戦略をとることができるのは、中国との間に

時間的・空間的な余裕があるからです。

 逆に日本はそれがないので、対中戦略におけるアメリカとのギャップが生じてしまうのです。

 一方で、2016年6月に北朝鮮の核・ミサイル問題を受けて

アメリカのジョー・バイデン副大統領が習近平国家主席と会談を行いましたが、

副大統領は「米中が連携しなければ、日本も核を保有するだろう。

 日本は実質的に一夜8で核装備できる能力を持っている」と述べています。

日本が必要以上の強力な軍事力を持つ事は、アメリカも警戒しています。

 また、通常戦力においても、中国本土への攻撃を可能とする「攻撃力」を

日本が保有することを認めない考え方も米国の中には根強くあります。

 この際、座して死を待つ危険性がある専守防衛の考え方を見直す必要があるでしょう。

 日本は、日米共同の作戦を前提としつつも、独立国家として、限定的であっても、

敵基地攻撃力の保有を真剣に検討すべき時期にきているのではないでしょうか。

 しかも、現在はアメリカによる各報復による抑止効果が薄れています。

なぜなら、アメリカは旧ソ連との中距離核戦力(IMF)全廃条約は1987年に結んでいるからです。

 この条約で射程が500kmから5500kmまでの弾道ミサイルが全廃され、

巡航ミサイルの多くが廃棄されました。

一方、中国は中距離・短距離の核戦力を保有しているため、日本を含めた地域への

米国の拡大抑止が効いていないのではないかと懸念されます。

そうなると、日本は中国の「核の恫喝」をまともに受ける形になります。

 ただし、アメリカはINF全廃条約を結んでいますが、中には「東アジア戦略においては

特例を設け、日本に核兵器がおけるようにすればいい」と唱える識者もいます。

 そうすれば、アメリカはいつでも核報復のリスクを中国に対して植え付けることができます。

 しかし問題は、日本がそれを見るかどうかです。

 日本には「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」と言う非核三原則なるので、

政治的にこの問題を解決できなければ、アメリカは核兵器を持ち込むことができません。

 対中戦略について考えたとき、我が国には大きな課題があることを

認識しておかなければなりません。 

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