CSBAのアンドリュー・クレピネビッチ所長(所長は2016年3月まで)は、
「アメリカ及び同盟国・友好国の最終目標は、中国に「武力による目的達成ができない」
と認識させる拒否的抑止を達成することである」と述べており、
そのために第一列島線に沿って列島線防衛ラインを構築することの重要性を説いています。
対中戦略と言えば海軍や空軍が登場しがちですが、クレピネビッチ所長は地上戦力の
コストパフォーマンスの良さも指摘しています。
アメリカ陸軍は陸上自衛隊のようなSSM(地上から発射される地対地・地対艦ミサイル)、
SAM(地対空ミサイル)などを装備し、さらに地上配備型の弾道ミサイルを保有する部隊に
改編し、日本からアシアン諸国に連なる第一列島線沿いに配備すれば、
中国の海軍も簡単に西太平洋には出られなくなります。
ただし、アメリカ陸軍がこうした考え方を受け入れるかどうかは未知数です。
アメリカの脅威対象国は相変わらずロシアで、陸軍はロシアとの戦いに備えてきたからです。
しかし、対中戦略に本気で取り組むのであれば、作戦構想や装備体系を
大きく変えなければならないでしょう。
アメリカ海軍についてはクルピネビッチ所長も「空母は中国のミサイル攻撃が続く間は
第二列島線以遠に再配置し、長距離攻撃で第一列島線の防衛に関与する」と述べており、
この通りの作戦が展開されれば、日本列島の防備が薄くなる可能性があります。
そのため、自衛隊も対中戦略を念頭に入れた上で、戦力構成を見直す必要が
あるのかもしれません。
特にアメリカでも言われてる事ですが、「水中の支配」が極めて重要で、
最新の潜水艦、機雷などを拡充させていくことが肝要です。
この際、北朝鮮の弾道ミサイルを発射できる潜水艦にも対応するために、
日本は原子力潜水艦の保有についても真剣に検討することが必要です。
一方、在日米空軍の主力は日本に残って戦闘を継続します。
しかし、中国のミサイル攻撃による損害を避けるために、民間飛行場を含めた
国内の飛行場に広く分散 ・展開できることが必須条件です。
そして、空軍が使用する燃料や弾薬もあらかじめ分散配置しておかなければならないのですが、
日本はそうした対策を講じてもいないし、関心すら示していません。
米軍の傘に守られ続けたせいで、「自国に攻めてきた敵は、自国が対処する」と言う
基本理念さえも忘れてしまっているのです。
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