以上のような分析から、本書の冒頭の問題「歴史上の事例に鑑みて、
新興勢力=中国との既成の超大国=アメリカとの間に戦争が起きる可能性を選べ」の正解は、
1の「非常に高い」と言うことになるだろう。
とはいうものの、歴史上の大国の過ちから「米中戦争は不可避だ」と推定するのは
大きな間違いである。
これだけでも、我々の推理作業で終わらせてはならない充分な理由となる。
そこで、大国政治の俯瞰的な視点から下り、これからは中国の意図を
「地上軍的」やり方で検証していくことにしよう。
「中国の軍事力増強に悪意はない」とはっきり断定できれば
(そんな事は不可能だとミアシャイマーは言うが)、「戦争の危険は無い」と言う結論で
我々の推理作業を締めくくることができるだろう。
しかしながら、中国に他国を脅かす意図があると判明すれば、あるいは少なくとも、
アメリカとアジア同盟諸国から見てその意図に何らかのあいまいさがある場合には、
我々としてはさらに問題を掘り下げなければならない。
この難問に対処するため、これから、中国の軍事力増強の主な理由三つについて考えてみよう。
そのうち2つはほぼ間違いなく無害な理由だが、あと1つは非常に気がかりなものである。
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【米中もし戦わば】003「米中戦争」は不可避なのか?
Posted in: 米中もし戦わば
– Posted on 2020/09/01
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