もちろん、太平洋地域にも、アメリカの陸海空軍基地及び海兵隊基地は、
サンディエゴからハワイ、グアムを経て、日本及び韓国の前身作戦基地に至るまで、
11,000キロにわたって点在している。
日本や韓国のアメリカ軍基地はアメリカ本土からは遥か彼方にあり、
中国には、沿岸部に戦闘機が到達できるほど近い。
第二次大戦の激戦地グアム島(中国本土からの距離は3500キロ未満)は
最重要の戦略拠点であり、日本列島、グアム、インドネシアのパプア州、
パプアニューギニアを結んでアメリカの第二防衛ライン (第二列島線)の
ほぼ中央に位置している。
全長わずか50キロのこの基地の島は、太平洋空母艦隊の重要な1時停泊所である。
グアムには、B-2ステルス爆撃機、第五代戦闘機F-22、攻撃型原子力潜水艦、
最新の無人機など、アメリカ軍の最新の兵器が軒並み配備されている。
アメリカの第一防衛ラインである「第一列島線」は、、当然のことながらさらに中国本土に近い。
第一列島線は、千島列島から日本本土、沖縄、台湾を入れてフィリピン及び
ボルネオ島へと至るラインで、韓国もその中に含まれる。
この第一列島線上にも、グアムと同様にアメリカ海軍とかなりの兵器がへ配備されている。
韓国だけでも15の基地があり、およそ30,000人の兵士が駐留している。
佐世保と横須賀にアメリカ第7艦隊の司令部がある日本本土にも13の基地があり、
およそ40,000人の兵士が駐留している。
さらに、沖縄県には14の基地が置かれ、沖縄本島の面積の20%近くを基地が占めている。
しかし、中国にとって懸念材料は日本と韓国のアメリカ軍基地だけではない。
最近、フィリピンのスービック海軍基地にアメリカ海軍が戻ってきたからである。
1992年に基地を返還して撤退していたアメリカ軍が戻ってきた主な理由は、
皮肉なことに、フィリピン政府が中国の軍事行動に不安を募らせたことだった。
だが、アメリカの戦略投射はこれで全てで はない。
南シナ海の作戦区域には、アメリカ軍西太平洋兵站軍司令部を置かれている。
これは、第7艦隊のための戦闘即応能力を持つ兵站センターで、
比較的最近シンガポールに設置された。
その目的は、「第7艦隊全体の戦闘用艦艇及び部隊に武器、燃料、食料を供給し、
支援すること」である。
また、アメリカが打ち出したアジア重視戦略の一環として、現在、アジア防衛網の周縁に
位置するオーストラリアに海兵隊が配備されている。
このように世界中に展開するアメリカ軍は、中国側の目にどのように映るだろうか。
それは確実に、中国経済の生命線と言うべき通商路に対する脅威と映るはずである。
さらに、有事の際に中国を封鎖する意図があることをペンタゴンが頻繁に表明している
ことを考えれば、中国は純粋に防衛目的で軍事力、特に、世界的規模の海軍力を
増強するのは当然だと思われる(ペンタゴンの戦略については後述する)。
この意外な結論から当然のことながら、「アメリカはなぜ、最大の貿易相手国に
大打撃を与えるような禁輸措置を課そうとしているのか」と言う疑問が浮上してくる。
これは、アジア全体とともにペンタゴンやホワイトハウスをもますますナーバスに
させている問題、つまり、「中国は領土的野心や有害な意図を抱いているか」と
言う問題に直結する疑問である。
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