【米中もし戦わば】010-3、中国が手にした「空母キラー」の脅威

中国の対艦弾道ミサイルの画期的な点は、地表へと落下しながら、空母や駆逐艦等の

大海原の中の比較的小さな目標を速やかにロックオンすることができるとともに、

非常に正確に目標を追尾しながら回避行動まで取れることである。

中国の指導者がこの画期的新兵器を公然と「空母キラー」と呼ぶのも理由のないことでは無い。

 実際には、中国の対艦弾道ミサイルは、巡航ミサイル、比較的安価なディーゼル電気方式

潜水艦、機雷や地雷、ミサイルを搭載した小型高速双胴船(ミサイル艇)といった

「非対称兵器」の1つに過ぎない、非対称兵器とは、

それらが破壊しようとしている対象に比べて非常に安価な武器のことである。

例えば、中国大陸から発射される対艦弾道ミサイルや高速双胴船から発射される

従来型の巡航ミサイル1発の価格は数百万ドルだが、

そのどちらも、一隻100億ドルのアメリカ空母を破壊するだけの能力を持っている。

 また、それらが直撃した場合、5000人の命が失われることも忘れてはならない。

 この点について、ジョージタウン大学教授で、以前ペンタゴンでアドバイザーを

務めていたフィリップカバーはこう述べている。

アメリカは世界最強の海軍を保有している。

 現在、アメリカ海軍はおそらく、中国やロシア軍を含め、世界中どのどこの海軍と

通常戦争を戦っても勝利することができるだろう。

 だが、中国は抜け目なく行動し、対艦弾道ミサイルなどのいわゆる非対称兵器を

開発してきた。

 対艦弾道ミサイルは、アメリカ海軍の艦隊を人質に取る能力を持っているかもしれない。

 これは、アメリカのアジア地域の海軍力展開能力が次第に小さくなっていくことを

意味している。

 中国の軍事力のこの非対称性ことこそがまさに、航行中の空母を弾道ミサイルで

攻撃する能力といった技術の進歩と相まって、自国の防衛はアメリカの空母艦隊に

依存しているアジア諸国やペンタゴンを慌てさせているのである。

実際、アメリカの空母戦闘軍の無力化にかける、中国の偏執狂とも言える力の入る様は、

戦略的優位を求めてせめぎ合い、お互いにますます不愉快に感じている米中両国の

間に存在する文化的地政学的な意見の相違の大きさを如実に物語っている。

一方の中国は、列強のせいで味わわされた「屈辱の100年間」が身に染みている。

 そうした視点から、中国は非対称兵器の拡充を「反干渉作戦」の実行を目的とした、

純粋に防衛的な軍備増強とみなしている。

その目的は、中国本土と、中国沿岸に眠る豊富な地下資源を守ることである。

 もちろんアメリカ側は、この中国の反干渉作戦を全く違う立場から見ているし、

違う名称で読んでいる。

アメリカの軍事アナリストにとってそれは防衛的どころか攻撃的な性質を持つ、

「接近阻止、領域拒否」戦略である。

アメリカ軍をのアジア海域から駆逐(領域拒否した上で、その帰還を阻止しようとする

(接近阻止)と言う性質上、この戦略は段階的に拡大する可能性が極めて高いものである。

航海の自由と言う原則の上に成り立ち、その範囲を貿易に大きく依存しているアメリカと

言う国にとって、中国の「接近阻止、領域拒否」作戦は到底受け入れられるものではな

い。

 そうなると必然的に、双方がゆずれない線を海上に引くようになり、

戦争の可能性は高まるだろう。 

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