以上のことを前提として、中国が核弾頭を温存するためにそれをどのように
保管してるのかと言う問題に戻ろう。
しかし、この問題を論じようとすると、当然のことながら、
中国の核兵器計画の不透明性と言う問題に再びぶつかってしまう。
この不透明性は、軍縮交渉を通じて核戦争の危険を減らそうと必死にに模索してきた
米露とは全く対照的である。
核軍縮交渉が本格的に始まったのは、米ソが第一次戦略兵器削減条約(START)に
調印した1991年だった。
この条約によって、米ソ両国の保有する核弾頭は6000発に、それを搭載する
大陸間弾道ミサイルや爆撃機の総数は1600に制限された。
2001年までに、この条約に従って「既存の戦略核兵器のおよそ80%が撤去された」
どんな基準から見ても、これは驚くべき成果である。
第一次STARTが2009年に失効した後、米露は2011年に、保有する核兵器を
さらに削減する新STARTを締結した。
このさらに厳しい新条約によって、大陸間弾道ミサイルを配備数は700基に、
大陸間弾道ミサイルに搭載される核弾頭の数は1550発に発射装置及び
重爆撃機の保有総数は50%減の800に制限された。
核軍縮交渉の長いプロセスを経て米露が核兵器の削減に成功したのとは対照的に、
中国がこれまでどんな形の軍縮にも頑として応じなかった。
それどころか、こうした条約をいいことに、ミサイルや核弾頭能力の開発を
何の制約も受けずに行ってきたのである。
ジョージタウン大学教授で、以前ペンタゴンでもアドバイザーを務めていた
フィリップカーバーはこう述べている。
現在、中国は核弾頭搭載可能なミサイルを世界で最も幅広く保有している。
幅広くと言うのはつまり、射程の非常に短いものから大陸間ミサイルまでと言う意味である。
中距離核戦力全廃条約によって、米露は中距離及び戦域ミサイルを全廃した。
したがって、すべての範囲のミサイルを保有している中国は特異な存在である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメントを残す