本章の冒頭でスコットトゥルーバーの掃海艇ジョークを紹介したが、
機雷の除去は実際、非常に危険な任務である。
朝鮮戦争時には、北朝鮮の機雷を除去しようとして掃海艇3隻が沈没、
駆逐艦五隻が深刻なダメージを受け、100名以上の水平が死傷している。
こうした過去の戦争から中国の戦略が学んだ事は、
第一に「安価な機雷は高価な主力艦を効果的に破壊できる」と言うことだった。
機雷はまさに「貧者の海軍」の第一選択兵器であり、非対称戦争の典型である。
1991年の第一次湾岸戦争時、イラクが敷設したわずか25,000ドルのイタリア製の
機雷が10億ドルのアメリカ軍艦プリンストンの任務阻止成功したことを思い出してみよう。
アメリカの誇る高性能イージス艦プリンストンはイラクのスカッドミサイルを警戒して
水平線と上空をレーダーで監視していたが、皮肉にも、
半径8キロ以内にイラク海軍の艦船が一隻もいない海域でローテクの機雷によって
破壊されてしまったのである。
機雷はイラクやイランと言った貧者の海軍にとって究極の兵器である一方で、
中国のような新興超大国が使用すれば真に破壊的な兵器にもなり得る。
その理由は、中国には大量の機雷を保有する経済力があるからと言うだけではない
(中国は、50,000発の機雷を保有していると主張している。
これは世界最大の機雷保有数である)。
中国には、あらゆる種類の最新式スマート機雷を開発、配備するだけの技術力もあるのだ。
中国自身が認めているところによれば、中国は30種類以上の機雷(接触機雷、
磁気機雷、音響機雷、水圧機雷、遠隔操作機雷、自走機雷、
ロケット推進式上昇機雷)を保有していると言う。
一例として、ロケット推進式上昇機雷について考えてみよう。
この機雷は水深1800メートルもの深海で、内蔵コンピュータが軍用艦の通過に
固有の音響的、電気的、磁気的、圧力的特徴を感知するのを待っている。
大型貨物船10隻、民間の石油タンカー4隻、また何百隻もの漁船が通過しても
何も起きないが、日本の、あるいはアメリカの原子力潜水艦が射程内に
差し掛かるやいなや機雷はロケットによって水中を時速280キロ以上で
目標に向かって上昇する。
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