中国は、二大戦略に従って近代化プログラムを進めてきた。
一方の戦略は、1950年代から60年代の、第二・第3世代のヴィンテージ物の
航空機を退役させ、少なくとも第4世代のテクノロジーと交代させることである。
もう一方の戦略には、マンハッタン計画並みの切迫感と大量のスパイ活動が伴っている。
その主眼は、アメリカの「統合打撃戦闘機」(F-22 やF-35戦闘機など)に匹敵する
最新の第5世代戦闘機の開発である。
第5世代戦闘機が中国にとってどれほど重要かを理解し、その開発が
エスカレートする可能性があることを理解するためには、
まず、第二次大戦以来アメリカが常にとってきた基本戦略を理解する必要がある。
大日本帝国にハワイ上空の制空権を握られ真珠湾がほとんど壊滅状態に陥ったあの
「屈辱の日」以来、アメリカは、常にまず空から邪魔者を取り除き
敵の作戦空域を制空戦闘機で支配すると言う戦略をとってきた。
そして、このような制空戦闘機の最先端がF-22のような第5世代戦闘機なのである。
このようにしてひとたび航空支配を確立すれば、F-35などの他の戦闘機や
B-2やF-35などの他の戦闘機やB-52といった長距離爆撃機は、
海上の敵艦船や陸上の敵資源(戦車や砲台や人員など)を思うがままに攻撃することができる。
中国は第三次台湾海峡危機で身を持って学んだように、そして、アフガニスタンや
イラクやセルビアでのアメリカの戦いぶりを、明敏な第三者として分析して
学習したように、このような航空支配によってアメリカは戦場を制し、
勝利の確率を最大限に高めてきた。
アメリカが作戦空域と戦場を制することができるかどうかは、当然のことながら、
戦闘機技術において優位を保てるかどうかにかかっている。
そこで問題になるのは、先ほど挙げたF-22である。
ロッキードマーチンF-22ラプターは、まず間違いなく世界最強の戦闘機である。
第4世代のステルス性と第5世代の敏捷性を兼ね備え、アフターバーナーなして
超音速巡航が可能で、高速の倍近い速度で長距離を飛ぶことができる。
最後にこれが最も重要であるが、F-22には、おびただしい数のリアルタイム、
データを統合して1つの画面にシンプルに表示する、「センサーフュージョン」と
呼ばれる機能が備わっている。
ロッキードマーティンのチーフテスト・パイロット、ポールメッツは
センサーフュージョンについてこう述べている。
「おかげで、パイロットがセンサー・オペレーターやデータ分析者を兼任しなくてもよくなった。
これは、戦闘機の出現以来、コクピット設計に起きた最も重大な変化だ。
これによって人間の膨大なRAM (ランダムアクセスメモリ)を、直感や洞察や
創意工夫や推論(これらこそ、人間を危険な生存在にする特性であり、
戦闘機パイロットの殺傷能力を向上させる特性だ)のためだけに使えるようになった」
F-35についても説明しておこう。
F-35の任務は防空と対地攻撃及び偵察である。
また、これには通常のタイプ、空母からの短距離離陸タイプ、垂直離陸タイプの3タイプがある。
元海軍パイロットで現在はペンタゴンの高官のエドティンバーレイクは、
F-35についてこう述べている。
F-35はゲームチェンジャーだ。ステルス性とセンサーフュージョンを兼ね備え、
パイロットに、編隊全体に関する情報とともに、リアルタイムの戦闘情報に基づいて
状況判断する能力を提供する。
これは、従来のコクピットの情報では得られなかった能力だ。
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