しかし結局のところ、今後数十年のスパンで見て最も危険なのは、
中国が人工衛星兵器を開発することでは無いかもしれない。
さしあたってはそれよりも、中国はアメリカの衛星ネットワークの無力化を
計画していることの方が危険かもしれない。
衛星ネットワークは今や、アメリカの軍事戦略の鍵となる要素であるだけでなくて
ますます情報化されるアメリカ経済の生命線でもある。
アメリカの衛星ネットワークを、中国はどのような方法で無力化しようとしているのだろうか。
ポール・サイモンのヒット曲「恋人と別れる50の方法」も真っ青と言う位、
実に様々なプランがあるようだが、大まかに言えば中国の対衛星兵器は
「ハードキル(直接攻撃)」と「ソフトキル(誘導撹乱)」の2つのカテゴリーに分類できる。
「ハードキル」の典型例は、2007年の対衛星兵器のテストを見ることができる。
2007年1月11日、中国は直接上昇式人工衛星ミサイルを多段式ロケットに乗せて
西昌衛星発射センターから打ち上げた。
目標は、上空800キロ以上の極軌道を周回してる中国の老朽化した気象衛星だった。
結果命中。
テストは大成功だった。
こうした「キネティックハードキル」のほかに、「ソフトキル」テクニックがある。
「ソフトキル」の方法は、衛星通信の妨害や、高エネルギーレーザーを使って
一時的に衛星の「目をくらませる」など多岐に渡っている。
中国は、すでに2006年にアメリカの人工衛星に対してこのような
「目くらまし」テクニックをテストしている。
ますます進化する中国の人口衛星攻撃兵器は、アメリカの宇宙支配と経済だけでなく、
核抑止力の重要な柱おも脅かしている。
中国がハードキルによってにせよソフトキルによってせよ、アメリカの軍事衛星を
無力化した瞬間、アメリカは安全保障上、中国が核による第一撃を仕掛けてくると
考えざるをえなくなるだろう。
攻撃が準備されているかどうか、衛星の目で監視するかすることがもはやできない以上、
そう考えるしかない。
その時、アメリカ大統領は先制核攻撃以外の選択肢は無いと考えるかもしれない。
そうなれば、中国との戦争によって世界の終末がもたらされることになるかもしれない。
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