【米中もし戦わば】019-01「非対称兵器」が勝負を分ける

問題

中国の軍事戦略及び軍事能力は、アジアの平和と安全にとって脅威になるか?

①なる

②ならない

第二部の最後に、これまで明らかになったことを簡単にまとめておきたい。

中国の意図、戦略、新たに獲得した能力を検討した結果、我々の推理作業は

どこまで進んだかを振り返ってみよう。

まず、中国の軍事的意図について言えば、国土及び国際通商路の防衛と言う正当な願望、

領土、領空、領海、交通の拡大と言う、正当とはとても言えない攻撃的な願望とかが

不可分に結びついているように思われる。

例えば、東シナ海、南シナ海を意のままにすることに成功すれば、

中国の国土及び通商路の防衛能力は大いに向上するだろう。

だが、こうした防衛上のメリットは、日本やフィリピン、ベトナムなど

自分よりも軍事力で劣る近隣諸国に対する攻撃的行動によってしか達成できない。

同様に、東シナ海の尖閣諸島や南シナ海のセカンド・トーマス礁を

攻撃的行動によって奪取することに成功すれば、そこに駐屯地や滑走路や

レーダー施設といった軍事施設を建設することによって防衛力を強化することができる。

さらに、このような領土拡大によって、中国は大量の石油や天然ガスを

手に入れることになり、それはペルシャ湾の石油への依存度を減らすことから

「マラッカ・ジレンマ」の解決にもつながる。

だが、このような防衛力向上はやはり攻撃的な現状変更行為によってしか達成できない。

経済的動機、膨張主義的動機、国家安全保障上の動機がこのように

重なり合っていること、防衛と攻撃の境界がハッキリしないことを考えると、

現在の状況の説明として、少なくとも1つの妥当な解釈が上がってくる。

中国の軍事力は、最初は国土と自国の経済的利益を守るための純粋に防衛的な理由で

増強されたのかもしれないが、今では近代的で攻撃的な軍事力へと危険な変貌を遂げ、

いずれは世界的に展開する能力を持つようになるだろう。

 中国の軍事能力については、中国の保有する兵器がお決まりの通常兵器

(機雷、ミサイル、空母戦闘群、戦闘機)だけではないことをこれまで見てきた。

中国は、アジアのパワーバランスをラジカルに帰る恐れがある、

破壊力が極めて大きい軍事技術の数々を保有している。

対艦弾道ミサイル(空母キラー)や様々な種類の対人工衛星兵器、F-35戦闘機などの

戦闘機を墜落させたり、さらには航空管制や銀行ネットワークシステムや

地下鉄システムなど敵国内の民間施設を麻痺させる能力を持つ

コンピューター・マルウェアがそれである。 

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