こうした戦略地政学的、経済的、政治的、歴史的な理由から、
中国と北朝鮮の運命は未だに緊密に結びついている。
このような結びつきからどのように戦争が誘発されるのかについて、
まず「北朝鮮内部崩壊」、シナリオ利用から考えてみよう。
中国の援助にもかかわらず北朝鮮経済がついに崩壊し、混乱が北朝鮮全土に及んだと
考えてみよう。
この崩壊をきっかけに、北朝鮮から何百万人もの難民が韓国へ、
あるいは北上して鴨緑江を渡り中国へ押し寄せるだろう。
北朝鮮軍は無法状態の大混乱に陥り、北朝鮮の核兵器は誰の手に渡るか
予断を許さない状態になる。
この時点で、韓国とアメリカは北朝鮮に部隊を派遣して核兵器を確保し、
朝鮮半島の融和を測るのが最善策だと判断するだろう。
当然、中国も軍隊を派遣してくるだろう。
中国、北朝鮮、韓国、アメリカの軍隊が出会ったら何が起きるだろう。
事態が速やかにエスカレートするだろう事は火を見るより明らかである。
次に、「北朝鮮による挑発」シナリオについて考えてみよう。
「歴史は繰り返す」事は、過去の事例を見ればすぐにわかる。
北朝鮮の挑発事例の1部をリストアップしてみよう。
・北朝鮮のMiG戦闘機がアメリカ海軍の偵察機を撃墜しアメリカ兵31名が死亡
・北朝鮮の工作員が韓国の民間航空機に爆弾を仕掛けて撃墜させ、
乗員乗客115名全員が死亡
・北朝鮮の特殊部隊が潜水艦で韓国に上陸、韓国の兵士及び一般市民16名を殺害
・北朝鮮の潜水艦の攻撃を受け韓国海軍艦艇が沈没、乗組員46名が死亡
・北朝鮮がおよそ170発の砲弾とロケット弾を延坪島目掛けて発射、深刻な損害を与える。
韓国の海兵隊2名、一般市民2名が死亡このような挑発行為があった場合に
紛争がエスカレートする可能性をさらに高めているのが、
2012年の朴槿恵政権発足以来、韓国がとっている政治的強硬路線である。
この冷たい目をした韓国初の女性大統領は、韓国の独裁者だった僕世紀の娘である。
母親を北朝鮮の攻撃北朝鮮の暗殺者の「パククネパクチョン日を狙った)銃弾によって
失っている彼女は、確かに身をもって北朝鮮の攻撃を体験している。
自分よりもはるかにリベラルな対抗馬を破って政権の座についた翌年の2013年、
朴槿恵は、北朝鮮の挑発に対して今後、「いかなる政治的配慮も行うことなく」
「迅速かつ断固たる」対応をとると言明した。
さらに、各攻撃を仕掛けるようなことがあれば、北朝鮮は「地球上から消し去られる」
だろう、とも宣言している。
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