【米中もし戦わば】022-05日本が核武装する可能性はあるか?

1つ目の選択肢は、「中国に乗り換える」シナリオ、つまり「長い物には巻かれろ」的

戦略である。

中国をアジアの覇権をめぐる戦いの最終的な勝者と認め、あっさり寝返って今度は

「中華帝国」と運命を共にする、と言うことである。

日本にとっては明らかに不利な点は、そうなれば必然的に尖閣諸島を

明け渡さざるをえなくなることである。

その上、海洋権益についても中国の主張を認めざるをえなくなり、

東シナ海における漁業及び石油・天然ガス権益の大半を失うことになる。

さらに、中国が本気で言ういわゆる失地回復に乗り出すとすれば、

日本は沖縄の領有権まで明け渡さざるをえなくなり、琉球諸島は

中華帝国に帰属することになるだろう。

経済面では日中の「共同統治」と言うことになるだろうから、

日本にとって領土問題よりは少しマシな結果になるだろう。

おそらく、日中両国はアメリカを貿易相手とする保護貿易圏を形成し、

アメリカドルに変わって中国人民元が準備通貨に採用されるだろう。

実際、日中両国の間に既に高度の相互依存関係が存在することを考えれば、

この「中国に乗り換える」のリアルシナリオは少なくともある程度は筋が通っている。

このシナリオがなぜ米中戦争の引き金になり得るかと言えば、

中国主導の経済圏ができた場合、アメリカの経済的繁栄と安全保障の両面に

深刻な悪影響を及ぼすと予想されるからである。

経済面では、アメリカは中国経済圏との貿易を不利な条件で行わざるをえなくなる

と言うリスクを冒すことになる。

これはアメリカの輸出とGDP成長率の両方に悪影響及ぼすだろう。

軍事面でも、3つの悪影響が考えられる。

アメリカはアジアの基地を失い、アジア地域のミサイル防衛網が弱体化し、

中国は次第に太平洋の広い範囲に戦力を投射してくるだろうから、

それにつれて、シアトルからワシントンDCに至るまでのアメリカの諸都市は

ますます中国の核攻撃ないし核攻撃の脅しに対して無防備になるだろう。

これらの理由だけでも、「日本が中国に乗り換える」シナリオは、

いずれ米中間の軋轢を大きくすることにつながりかねない。

 それでは「日本核武装」シナリオはどうだろう。

 唯一の被爆国として、日本は核兵器の保有には拒否感を持っているが、同時に、

高性能の核兵器を速やかに製造・配備するだけの技術力もほぼ確実に保有している。

過去60年以上にわたる原子力発電の経験から、日本は、速やかに原子爆弾を

開発するだけの専門技術も核物質も十分に持ち合わせている。

時間をかけて小さな原子爆弾を開発しているイランや北朝鮮などとは違い日本なら、

ほとんど一夜のうちに最大級の原子爆弾をいつでも製造してのけるだろう。

 この予測から浮かび上がってくるのは、アジア地域におけるアメリカの戦力投射の

最も重要な機能は核抑止力による平和維持だと言う事実である。

日本や韓国は核保有国にならずアメリカの核抑止力に頼る方が、

アジアで核戦争が起きる可能性ははるかに小さくなる、とほとんど専門家が考えている。

だが、一旦このアメリカの核の傘の信頼性が疑問視されれば、

拡散に歯止めがかからなくなり、何が起きるか分からない状態になってしまう。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ページトップに戻る↑                           ページ一番下へ↓

【米中もし戦わば】022-05日本が核武装する可能性はあるか?


About kabumagariya