さらに、アメリカ軍は永久に優位に立っているはずだと言う思い上がりに
疑問符を突きつけるのが、急速に成長する中国経済の持つ潜在力である。
これが結局は、今後のどんな戦争においても決定的な役割を果たすことになるかもしれない。
中国の経済成長が今のペースでアメリカを上回り続ければ、数に優れた中国軍が
技術力に優るアメリカ軍を圧倒する時がいつか来るだろう。
スターリンの格言「量も質のうち」をもう一度思い出してほしい。
質より量の中国がアメリカ海軍のアジアでの戦力投射に突きつけている問題を
理解するために、もう一度イージス戦闘管理システムについて考えてみよう。
これは、数千キロとは言わないまでも、数百キロの彼方からこちらに向かってくる
ミサイルを探知できる高性能レーダーシステムを中心とするシステムである。
ギリシャ神話に登場する盾に由来するとその名の通り、イージスは、アジア太平洋地域で
活動するアメリカ空母戦闘国のデジタルシールドである。
アメリカ海軍大学校のトシ・ヨシハラ教授によれば、イージスを打ちまかすための、
そしてそれによって台湾海峡のような重要な紛争地域を掌握するための中国の明確な戦略は、
対艦弾道ミサイル、低高度巡航ミサイル、高高度超音速ミサイルを
イージス搭載艦めがけて大量に、それぞれ異なる方向およびベクトルから
一斉にに打ち込むと言うものである。
そんな猛攻撃を受ければ、アメリカ軍自慢のイージス・シールドも粉々になってしまうだろう。
アジアにおける最終的な軍事バランスについて考える際に言っておかなければならない事は、
アメリカ最大の敵は中国それ自体ではなく単に「地理の過酷さ」
(アメリカがアジアから遠いために生じる問題を表す、アメリカの軍関係者がよく使う言い回し。
「(遠)距離の格差」とも言う)かもしれないと言うことである。
有り体に言えば、1万キロ彼方のアジアまで出撃するのでは、たとえ前進基地と
空母戦闘群と長距離爆撃機の力を合わせたとしても、
補給路を確保してホームグラウンドで戦う近代的装備の中国には、
技術的には相変わらず勝っていたとしても太刀打ちできないだろう。
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