「強化」「分散」「再編」の3つの戦略の実現可能性について言えば、
基地分散化戦略は基地受け入れ国の草の根レベルの政治的反対に会うことが予想される。
日本や韓国では既存のアメリカ軍基地への反対意見がもともと根強いし、
1992年にアメリカ軍がフィリピンが撤退した時も、その中心には草の根の
反対運動があった。
その中心にさらに、どんな再編にも必ず伴う軍内部の混乱にも配慮しなければ
ならないだろう。
アメリカ軍は、陸軍・空軍・海兵隊の間の勢力争いだけではなく、
例えば海軍の「キャリア組」と「叩き上げ」間など、各軍内の揉め事も激しいことで
有名である。
敵に勝つ(できれば、戦わずして)という本来の目標自体が、
こうした揉め事の中で見失われることも少なくない。
こうした厄介な政治的問題について、フリードマン教授はこう述べている。
現在、中国によって突き付けられている軍事的課題の解決には、
アメリカ各軍がこれまで優先してきたものとは違う軍事システム能力の開発が必要になる。
海軍は空母が好きだが、空母は脆弱性が次第に目立ってきたため潜水艦を増やす必要が
あるだろう。
空軍は比較的短距離の戦闘機が好きだが、これは、飛行距離が極端に長く基地への
アクセスが限られているアジアの全域には不向きである。
空軍は無人航空機やB-2に代わる新型ステルス爆撃機を増やす必要があるだろう。
(だが、)これは空軍がこれまで好んで購入してきたシステムではない。
「戦わずして勝つ」ことがアジアにおけるアメリカ軍の目標だとすれば
これまで述べてきた「強化、分散、再編」と言う3つの戦略を推し進めることが
賢明だと思われる。
だが、これまで述べたような理由によりこれらの戦略は結局先送りされてしまうだろう。
その間、アジアのアメリカ軍基地と空母戦闘群は、
中国本土からの組織的ミサイル攻撃に無防備のまま取り残されることになる。
これから二章にわたって、「そのような攻撃を受けた場合にアメリカは
どう対処すべきか」に関する2つの主要な意見を詳しく見てみよう。
この「エアシーバトル派」対「オフショア・コントロール派」の論争は、
我々の推理作業に深く関わる重要な問題である。
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