【米中もし戦わば】033-02、中国経済はあまりにも海運に依存している

チョークポイントがこれだけあるとなると、アメリカとの同盟諸国に海上封鎖された

場合、中国艦船が太平洋やインド洋に出て行く事は非常に困難になる。

 海上封鎖には、潜水艦や潜水艦や、空母戦闘群だけでなく、機雷も使用されるだろう。

 中国が機雷先戦を重視していることを考えると、もしも実行されればこれは

「やられたらやり返せ」作戦と言うことになる。

 中国の「経済の格差」、つまり経済的要因について言えば、その原因は、

中国経済がエネルギーの輸入と製品の輸出にあまりも大きく依存していることにある。

 さらに、「世界の工場」として中国は銅、鉄鉱石、ニッケル、錫、木材など

あらゆるものを大量に必要としている。

これが「過酷さ」に拍車をかけている。

 大まかに言えば、輸出に過度に依存する中国経済は、そのGDPの伸びの半分以上を

貿易に依存している。

 一方、とうもろこしや大豆など農産物や食料の輸入依存率は次第に増加している。

 こうした経済的・地理的過酷さを考えると、中国は確かに封鎖に対して脆弱なのだといえよう。

 この強固な前提に基づいて、アメリカの国防総合大学のT・X・ハメス大佐や

アメリカ海軍大学校のウェイン・ヒューズ大佐とジェフリー・クライン大佐が

提唱しているのがオフショア・コントロール戦略である。

 この戦略の「目的、方法、手段」について、クラインとヒューズは次のように述べている。

 ウォーアットシー戦略(オフショア・コントロール戦力)とは、中国の領土・領海拡張の

試みを阻止することであり、それに失敗した場合には、有事の際に中国に対して

「第一列島線」伊東の海の使用を拒否することである。

これを実行する方法は、中国の海上交通を遠隔地点から妨害する、

第一列島線伊東の広範囲の水域で潜水艦による攻撃及び機雷の敷設を行う。

 小型ミサイル艇を使って東シナ海、南シナ海で攻撃を行い、船舶のチョークポイント通過

を阻止する、危険にさらされている南シナ海の島々を確保するために

海兵遠征軍を配置する、と言うものであり、中国本土への陸上部隊派遣は想定されていない。

これを実行する手段は、空軍、空母戦闘群、潜水艦、およびアメリカ軍、同盟軍の

小規模部隊の前方展開船団を組み合わせた兵力構成である。

ハメス大佐の(傍点は著者による)冷酷な言い回しを借りれば、これはまさに

「経済的絞殺の戦い」に他ならない。

ハメスにとって、この戦略のエレガントさは、「アメリカの強みを最大限にし、

中国の強みを最小限にする方法で戦うことを余儀なくさせる」点にある。

 クラインとヒューズも、これを「アメリカが長年培ってきた制海力を、

海に依存する中国に用いる」戦略と呼んでいる。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ページトップに戻る↑                           ページ一番下へ↓

【米中もし戦わば】033-02、中国経済はあまりにも海運に依存している


About kabumagariya