【米中もし戦わば】033-05中国本土への報復攻撃を選択肢から外してしまうのは得策ではない

これまで2章にわたって、エアシーバトルとオフショア・コントロールと

比較検討してきたが、どちらを選択すべきは本当に難しい問題である。

この難しい選択について考えているとその複雑さのあまり

本質を見せ見失いそうになるが、最も重要なのはおそらく次の点だろう。

エアシーバトルは、核戦争へとエスカレートする最速の道かもしれない。

仮にそれが起きた場合、被害は計り知れない。

だがその一方で、これには中国本土を聖域にさせないと言う利点がある。

だから、中国本土への報復攻撃を選択肢から完全に外してしまうと言うのは得策ではない。

中国側の不安が抑止力になるかもしれないからである。

アメリカ海軍大学校のトシ・ヨシハラ教授はこの点について次のように述べている。

アメリカが中国に「わが同盟国内のアメリカ軍基地は攻撃してくれて差し支えない。

中国本土は原則的に聖域とする」といったとしたら、いったい中国側は、

それをどう受け取るだろうか。

それは何も、こちらが攻撃されたら、即、中国本土を徹底的に攻撃しろと言う意味ではない。

だが少なくとも、中国人の心の中に若干の不安が残る程度の戦略的曖昧さを維持する

選択肢を残しておく必要がある。

こちらの態度が曖昧であればあるほど、中国は警戒心を抱けば抱くほど、

抑止力が強まる。

このような意見を聞くと、「それなら、中国の攻撃の対処法として、エアシーバトルと

オフショア・コントロールを並行して使うと言う戦略がありだろうか」と言う疑問が湧いてくる。

この問題については、平和への道筋について考える第五部以降で改めて取り上げることにする。

さしあたっては、「どちらの戦略にも利点はあるものの、それぞれに落とし穴も

あるから、落とし穴に落ちるのを避けるためには最初から紛争を防ぐのが1番だ」と言う。

これは非常に難しい注文ではあるが、少なくとも平和への道を探るために

われわれは全力を尽くさなければならない。

とはいうものの、第五部以降で「平和への道筋」について考える前に、

まずは、仮に戦争が突然戦争が実際に勃発した場合に「勝利」とはどんなものになるかを

分析し、第4分の締めくくりとしよう。

その分析結果は必ずや中国との軍事衝突を避ける道をなんとしても見出そうとする

究極のモチベーションとなるはずである。 

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