実際、新孤立主義を擁護する方が、アジアにおけるアメリカ軍の強力なプレゼンス維持を
主張して説得力のある論拠を述べるよりも、いろんな意味でずっと簡単である。
ジョン・ミアシャイマーは、孤立主義の影響力についてこう述べている。
孤立主義擁護論を過小評価すべきではない。
介入主義的立場をとる政治指導者があらゆる手段を使って孤立主義を
貶めようとするのは、孤立主義の論理にそれだけ強い説得力があるからだ。
(フランクリン・)ルーズベルト大統領も孤立主義を打ちまかすのにひどく苦労した。
真珠湾があって初めて打ち負かすことができたのだ。
孤立主義とは、それだけ魅力的なイデオロギーだということだ。
例えば、選択肢1の「海上交通路を守るため」と言う論拠について考えてみよう。
孤立主義者からすぐに帰ってくる答えは、「貿易への依存度なら、
中国の方がアメリカよりも高い。
そんな国が海上交通路や平和的通商を破壊するはずがない」と言うものである。
同様に、選択肢2の「アジアのアメリカ軍基地はアメリカ本土の防衛に役に立つ」と言う論拠も、
「アジアとアメリカは10,000キロ余り離れているし、アメリカ本土は
太平洋と大西洋によって西海岸も東海岸も守られている」と指摘されると、
空々しく聞こえてしまう。
選択肢3の「アメリカ軍がいなくなると、アジア諸国の間で戦争が起きる」と言う
論拠に対しては、孤立主義者は「それで?アジアの事はアジアに任しておけ。
核爆弾がアジア中に落とされるなどと言う恐怖で脅かしても無駄だ。
どの国もそんなことをするほど馬鹿じゃない。
違うか?」と言うだろう。
最後に、選択肢4の道義的責任について言えば、アメリカが超大国として
「世界の警察官」の役割を果たさなければならないことに多くのアメリカ人が
心底うんざりしている。
そこには、明らかに偽善的なアメリカの外交政策もひと役買っている。
アメリカがそんなに「道徳的」で「特別」なら、どうしてアメリカは
サウジアラビアといった人権抑圧国家にテコ入れしてるんだ?石油が出るからとか、
そこにアメリカ軍基地を置いておきたいからとかの下心からじゃないか、と
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