【米中もし戦わば】035-04日中衝突を防ぐ抑止力としての存在

「アジアのアメリカ軍基地及び同盟諸国は、アメリカ本土の防衛の最前線で

重要な役割を果たしている」と言う論拠は、新孤立主義者は「地球の裏側の話」と

主張するにせよ、経済的な論拠よりははるかに明快である。

この超音速弾道ミサイルの時代にあっては、中国の地下長城のサイドから発射される

にしろ、北朝鮮の丘から発射されるにしろ、今や核弾頭はほんの数10分で

ポートランドにでもミネアポリスにでも、ボルチモアにでも到達する。

戦略・国際、研究センターのマイケル・グリーンは次のように述べている。

太平洋は脅威を防ぐバリアにはならない。

北朝鮮が核兵器を開発しているし、弾道ミサイルも開発している。

今後10年で、その核兵器を弾道ミサイルに搭載しようとしている。

そして、それはヨーロッパを攻撃するためのものではない。

それは、アメリカ西海岸を攻撃するためのものなのだ。

 ゴードン・G・チャンが「アメリカの防衛の最前線はアラスカやカリフォルニアではなく、

韓国や日本なのだ」と書いているが、その通りである。

韓国や日本やオーストラリアやグアムのアメリカ軍基地は、アメリカの

ミサイル防衛システムに共有して知らせる早期警戒システムにおいて重要な役割を果たしている。

これと同様に重要なのが、先制攻撃を受けた場合にアジアの基地から

速やかに反撃できると言う利点である。

この力のおかげで、中国や北朝鮮のミサイルが先に飛んでくる危険は

うんと低く抑えられている。

アジアに基地を持つべき理由は、真珠湾攻撃を思い出せばすぐにわかる。

 10年以上にわたってアメリカ軍のプレゼンスがアジアの平和のために果たしてきた

重要な役割について、新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン博士は

こう述べている。

アメリカ軍撤退の結果何が起きるのか起きるか考えるときには、

歴史を理解する必要がある。

第二次大戦終結以来、アメリカはアジア太平洋地域の支配的大国だった。

アメリカの存在によってアジア諸国の間の深い歴史的怨恨は表面化しないで済んでいた。

アメリカ軍が撤退すれば、こうした歴史的憎悪や不信感や人種差別や怨恨は

必ず顕在化するだろう。

現在の日中韓、中越間の緊張にはそうした歴史的背景がある。

緊張は存在するが、今のところ抑えられている。

つまり、アメリカ軍のプレゼンスによって、あからさまな衝突を防いでいるのだ。

ゴードン・G・チャンは、アメリカの経済安全保障と国防は不可分の関係にあると言う

重要な事実について次のように述べている。

平和な時代が続かなければ繁栄はありえない。

そして、これまで東アジアが平和と繁栄を享受してきたのは、

アメリカのプレゼンスのおかげだ。

アメリカのプレゼンスがなければ、東アジアの平和と繁栄はありえなかった。

だから、アジア諸国はアメリカのプレゼンスを望んでいるのだ。

だから、彼らはアメリカのプレゼンスを要求しているのだ。

だから、アメリカは、「軍の駐留と安全保障同盟は抜きにして、

アジアとは貿易だけの関係にしたい」とは言えないのだ。

平和と繁栄は不可分の関係だ。

この2つはセットなのだ、平和を繁栄から切り離すことはできない。 

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