総合国力と言うコンセプトは、「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」と
言う孫子の格言に深く根ざしている。
中国人民解放軍軍事科学院の著名な戦力家・呉春秋の言葉に、
その日の時代から連綿と受け継がれた精神を見ることができる。
呉は次のように言う。
戦わずして勝つとは、全く戦わないことを意味するものではない。
政治戦、経済戦、科学・技術戦、外交戦などなど、戦わなければならない戦争は数々ある。
これを一言でまとめれば総合国力戦である。
軍事力は重要なファクターではあるが、平時には、軍事力は通常は予備的な力であり、
目に見えない力としての役割を果たしている。
ジョーンズ・ホプキンス大学のデビット・ランプトン教授は、総合国力が
平和維持にとって重要であることを全面的に認めて、
アメリカの経済、教育、技術、人的資源、研究開発、等々の分野で健全な総合国力を
保っていれば、中国はアメリカを尊重するだろうと述べている。
しかし、もしもアメリカの総合国力が衰退し始めれば「中国はそれに手に負えない国に
なるだろう」。
元NATO軍最高司令官ウェズレー・クラーク将軍も、NYタイムズ紙に同様の意見を
寄稿している。
軍事力は通常は予備的な力であり、目に見えない力としての役割を果たしている。
アメリカが国際指導力を維持し、台頭する中国の建設的な対抗勢力勢力になるためには、
アメリカ独自の長期的戦略ビジョンが必要である。
つまり、エネルギー自給を基礎とする強い成長、経済、活力ある効率的な民主主義に
裏打ちされた積極的かつ粘り強い外交、危機的事態において一対一で
中国に立ち向かえる軍事力を維持していくことが必要である。
ランプトン教授は、アメリカが「国内事情に最も注意を払うべき時が来ている」の
かもしれないと言う。
「長期にわたって国力を維持するための基礎を築きあげることによって、
アメリカはより効果的に」中国の攻撃的拡大路線を阻止することができる、と彼は言う。
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