自分の言い分を西側に押し付けるために中国政府がやってるのは、
ロビイストや広告費を使って発信することだけではない。
中国政府は、自分に都合の悪いことが報道されないよう世界中のジャーナリストに
圧力をかけている。
西側の報道機関に自主規制が広まった主な原因は、中国政府の圧力である。
中国国内のニュースを報道するためには特派員を中国に派遣することが必要だが、
中国政府はビザの発給を利用して、中国政府の方針に批判的すぎたり、
政府批判や政治腐敗や環境汚染で民主化運動や労働者の暴動といった
「避けたい話題」を掘り下げすぎるジャーナリストの入国を長年にわたって制限してきた。
元「ニューズウィーク」北京市支局長で、現在は「コンデナスト・トラベラー」誌で
世界情勢を担当している長年の中国通リンダ・エリオットの告白を聞いてみよう。
「恥ずかしい話だが、私は微妙な問題を報道するリスクを心配していた。
入国を拒否されたらどうしよう、と」「アトランティック」誌のジェームズ・ハローズの
証言もある。
中国脅威論に対して長年ハト派の立場を貫いてきたバローズだったが、
それは彼でさえとうとう、自分は「中国政府の怒りぽさを知っていた」ために
それに配慮した記事を書いていたと認めたのである。
だが、西側ジャーナリストが直面する問題はビザ発給拒否だけではない。
中国国営メディアの御用記者は自由に世界を渡り歩いているのに、西側の記者たちは
中国の至るところで立ち入りを禁止され、取材現場でそれこそ日常的に
嫌がらせや干渉に悩まされ、ときには身体的暴力まで受けることがある。
こうした圧力がどれほど効果的に自主規制を引き出すかを理解するためには、
ブルームバーグ・ニュースの実例を見るだけで充分である。
中国共産党幹部の腐敗をブルームバーグが報道すると、中国はブルームバーグの
ドル箱である金融市場情報端末(その売り上げは、ブルームバーグの収益の80%以上を
占める)不買運動を仕掛けた、すると、ブルームバーグが中国に関する硬派の
ニュース報道事業から撤退してしまった。
中国の圧力に屈したブルームバーグ会長ピーター・グローアーは中国市場の重要さを
認め、「我々には中国に残る必要がある」と語った。
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