締めくくりに、この最終章のテーマをおさらいしておこう。
急速に台頭する中国によって引き起こされた深刻な安全保障上の脅威に
平和的に対抗するには、第一に、経済的・軍事的その他の対抗策について
政治的な合意ができていなければならない。
だが、自由で開かれた民主主義国家においてこうした政治的合意に到達するのは
至難の業だと思われる。
経済的利害は対中貿易との関わり方によって異なり、利益団体は他人のために
団結するより対立し合う道を選びがちである。
独裁的な中国政府は外国の中国報道に強力なメディア統制を敷き西側の
ジャーナリストや大学は一貫して自主規制を行っている。
この分裂状態こそが、「対中戦争の可能性について考えるべきだ」と言う政治的合意の
形成を西側の民主主義国、特にアメリカで長い間阻んできた元凶である。
言うまでもないことだが、現実から目をそらすと言うこうした状態がこのまま続けば、
物語の結末は我々全員にとって苦いものになるだろう。
もちろん、今ならまだ間に合う。
戦争よりもはるかにましな、はるかに平和的な方法で問題を解決する道はある。
真実が明らかになり、リスクの大きさ、壊滅的被害の及ぶ範囲の大きさを
中国人と我々の双方が完全に理解できるようになりさえすれば、希望は見えてくる。
平和が栄えるためには、この真実が自明の理となる必要がある。
この真実を探求することこそが本書の目的だった。
この精神に則って最後に、スペインの哲学者ジョージ・サンタヤーナの格言
「過去を記憶できないものは、過去繰り返すよう運命づけられている」を逆にした言葉を
掲げ、本書を締めくくることにしよう。
「どんな将来どんなことが起こり得るかをすべて想定できる人間には、
その中から最善のものを選び、最悪のものを避ける、最上のチャンスが与えられている」
終了近いので、アップロードは少なめ
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