第一章である程度説明しましたが「第一列島線」、「第二列島線」と言うのも、
中国が地図上に勝手に引いた線です。
これを今日、中国は自国の安全保障上の防衛ラインとし他国勢力の排除を目指しています。
このラインは、もともとは1982年に、当時の最高指導者である鄧小平の意向を受けて、
人民解放軍海軍司令官(中央軍事委員会常務副主席「の劉華清が作成したものです。
しかし、当時は単なるイメージ上の線にすぎませんでした。
なぜなら、当時はまだ「冷戦」の真っ最中であり、人民解放軍は陸軍を中心として、
ソ連を仮想敵国していたからです。
しかし、1990年代になって本格的な本格的な海軍を建造・編成することになり、
その中で打ち出された街の発展計画によって、第一列島線と第二列島線の概念が
改めて浮上したのです。
次の(12)がその概念です。
この図には、第一列島線内に「領域拒否ゾーン」が、第二列島線内に「接近阻止ゾーン」
が書き加えてますがどのこの海域は、現在の中国の海洋防衛戦略の基盤となっています。
序章で少し触れたように、中国は第一列島線と第二列島線を基準にして、
「接近阻止・領域拒否」(A2/AD)と言う防衛戦略を持っているのですが、
これについては後に詳述します。
すでに、中国海・空軍、沖縄本島と宮古島間を通過して西太平洋へ進出し
軍事訓練を行うのが常態化しており、将来的には日本から小笠原諸島、
グアムを結んだ第二列島線まで出て行く計画になっています。
そして、最終的には、米海軍勢力を第二列島線の外に追いやるのが目標です。
話を列島線が作られた当時に戻すと、この時、劉華清司令官は、次のように
時期を区切って、海軍の建設と拡大を構想していました。
(再建期) 1982 ~2000年:中国沿岸海域の完全な防備体制を整える。
(躍進前期) 2000 ~ 2010年:第一列島線内部を支配し、領域拒否体制を確立する。
(躍進後期) 2010 ~2020年:第二列島線内部を支配し、接近阻止態勢を確立する。
(完成期) 2020~2040年:米海軍による太平洋とインド洋における支配に終止符を打ち、
西太平洋以西の海域から米軍を排除する。
この計画表のうち、(躍進前期)までは達成つつつつあると言っていいでしょう。
もちろん、海上優生(制海権)に関しては、米海軍、海上自衛隊から完全に奪えてはおりません。
ただ、(躍進後期)目標を達成するため、ウクライナから購入した旧ソ連の空母
(ヴァリャーグ)を改造して(遼寧)として就航させています。
この「遼寧」は、2016年12月23日、母港・青島をミサイル駆逐艦三隻、
フリゲート艦二隻を伴って出港すると、東シナ海を南下し、
25日に沖縄本島と宮古島の間に位置する宮古海峡通過して初めて西太平洋に進出しました。
その後、台湾の東側を通過し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して
南シナ海に入りました。
つまり、第一列島線の外に出たのです。
こうした行動を、「人民日報」や国営テレビ「CC TV」は逐一伝えて
「次に狙うのは第二列島線、東太平洋だ!」と報道したのです。
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