【日中もし戦わば】「核不拡散条約」と「核兵器禁止条約」の矛盾

ここで、わが国の核に対する態度に関して述べておきますが、

一言で言えば、現状ではアメリカが世界最強の核大国でないと困ると言うことです。

 「唯一の被爆国」といってもでアメリカの核の傘で安全保障が担保されている以上、

核を容認する以外の政策は取れません。

 それなのに、核兵器の廃絶を訴えると、完全に自己矛盾に陥ってしまいます。

 もちろん、世界では核軍縮の話し合いが、長年にわたって続いています。

 しかし、成果は全く出ていません。

 次の(23)は世界の核保有国とその核弾頭の保有数をまとめたものです。

 米露がほぼイーブンに対して米中は圧倒的にアメリカ優位となっています。

 核軍縮を目的とした代表的な条約に、「核不拡散条約」(NPT条約)があります。

 これには世界のほとんどの国(191カ国)が締結国となっていますが実効性がありません。

 なぜなら、この条約は「核保有国」(米ロ中)と「非核保有国」を分け、

非核保有国は核兵器の製造も取得も禁止すると言っているに過ぎないからです。

 したがって、インド、パキスタン、イスラエルは非核保有国としての加入を拒んでいますし、

一方で北朝鮮のように核兵器の開発・保有を自ら宣言している国もあります。

 

国連では、5年ごとに「NPT条約」の再検討が行われます。

 最近では2015年5月に「核兵器を禁止する条約の締結を呼びかける最終文書」の採択が

行われましたが、米英仏ロが反対ないし棄権したために流れました。

日本も棄権です。

 アメリカがこんな条約に賛同するはずがないからです。

 「核兵器禁止条約」(NWC)は、国連では、毎年のように議論されています。

 そして、この条約の締結に向けて交渉開始すると言うような決議案が提出されます。

 すると、米ロは必ず反対し、日本、韓国なども反対します。

 ところが中国は曖昧な態度をとり続け、北朝鮮は賛成に回るのです。

 2016年12月27日、国連総会第1号委員会(軍縮・国際安全保障問題)

で採択された「核兵器禁止条約について交渉する国連の会議を来年召集するとした

決議案」は、圧倒的な賛成多数で採択されましたが、中国が棄権し、

北朝鮮は賛成しました。

反対は、米英仏ロと日本や韓国、オーストラリアなどでした。

 なぜ、中国や北朝鮮はこうした態度取るんのでしょうか?

北朝鮮は、自国の核開発は米国の核の脅威から国を守るための抑止力だと主張しており、

核兵器廃絶に向けた決議に賛同を示すことで、自国の核開発を正当化するとともに、

米国の核兵器使用も禁止対象となり得る条約に積極的な立場とみられています。

 アメリカの核に対する自衛だと言いいたいのです。

 一方、中国の習近平主席は2017年1月18日、スイスの国連欧州本部で

「核兵器が禁止され現存の貯蓄分も破壊される世界を目指すべきだ」と返事しました。

 オバマ前大統領の「核兵器のない世界」の模倣版です。

 国連では「核兵器禁止条約」の制定に向けた交渉の準備会合もあって今も続いています。

 2017年2月16日の会合では、米ロと日本は欠席しましたが、中国は出席し、

前記の通り、曖昧な態度に終始しています。 

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