【銀行デジタル革命】05金融の業務地図を塗り替える

諸外国では、フィンテックは金融業界を革新的に変化させる技術サービスだと

考えられていますが、日本では意識の上でも行動の上でも動きが鈍いのが実情です。

あらたなサービスの開発普及を妨げてきた背景には銀行法、金融商品取引法、

保険業法、貸金業法、資金決済法、出資法などの法律によって、

銀行、貸金業、保険、証券などの金融業態を縦割りで

厳しく規制してきた金融法制がありました。

銀行は保険を販売できず、保険会社は個人向け融資を行うことができないことなどは、

かつては常識と考えられてきました。

まして、金融機関ではない企業の金融業への参入はありえないことでした。

例えば、電子マネーにチャージすると原則は換金できないのも、

銀行以外での事業者が元本の返済を約束した「預かり金」を行うことが

禁止されているためです。

電子マネーチャージしたお金を現金化できるとすれば、

利子がつかなくてもお金を預けているのと同じで、

電子マネー事業者が銀行の仲介業務である預金業務をしていると解釈され、

違法となるわけです。

あるいは、電子マネーにチャージする形で支払いを受けた人が、

それを現金化するとやはり銀行の中核業務である決済業務になり、

こちらも違法行為になります。

2009年に資金決済法が施行され、銀行以外の事業者も決済業務に

本格的に参入できるようになりましたが、依然として厳しい規制があります。

とは言え、IT関連企業にフィンテックを使った商品やサービスは日本でも徐々に始まっています。

LINE Pay (ラインペイ)、楽天ペイ、paymo(ペイモ)などの決済サービスや、

自動貯金サービスのfinbee(フィンビー)、中小企業向け融資サービスの楽天のカードや

Jscore(ジェイスコア)などです。

こうしたフィンテック企業の新しいサービスは、従来型の金融機関の業務のうち

収益性の高い1部分だけを取り込み、例えば決済サービスに特化するといった形で、

金融業界の業務地図を塗り替えつつあります。

それらを銀行の業務分野別に整理したのが図表0-1です。

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