しかし、台頭するフィンテック企業への初期対応の段階から、
自身が具体的なビジネス展開を加速する時期に入った今、銀行、
とりわけメガバンクは深刻なジレンマを抱え込んでいるように見えます。
そうしたジレンマを引き起こした大きな原因は、金融庁が競争促進へと方針転換したことで、
それによる金融業務のアンバンドリングが否応なく進展すると予想されるのです。
5%ルールを緩和した2016年の銀行法改正には、金融の安定のために
金融機関とフィンテック企業の協調や融和を促す意図があったようですが、
2017年の銀行法改正は、サービスの供給側である金融機関やフィンテック企業よりも、
需要サイドである利用者の利便性に重きを置くものでした。
金融法体系を業態別から業務別への規制へと変えていく事は、
それぞれの業務への新規参入を容易にし競争を促進しますが、
同時に業務のアンバンドリングに拍車をかけるでしょう。
アンバンドリングが進むと、銀行に何が起こるのでしょうか。
結論を先に言うと銀行は「土管化」する恐れがあるのです。
フィンテック企業は銀行システムを利用して利便性の高いサービスを顧客に提供しています。
もちろん、タダ乗りではありません。
フィンテック企業が顧客の送金や決済を代行しても手数料は銀行に支払われますから、
銀行の利益にもなります。
しかし、それでは顧客との接点(インターフェース)はフィンテック企業に奪われてしまいます。
日々の取引を通して蓄積される膨大な顧客情報や取引履歴などのビックデータは、
フィンテック企業に集中していきます。
銀行にとっては顧客の預金口座からお金が出たりまたそこに入ったりするだけで、
銀行自体には手数料の外は何も蓄積しないことになります。
銀行はそのシステムを顧客に利用されているにもかかわらず、
将来のビジネス展開の種となる情報は得られず、顧客からは忘れられた存在になっていきます。
それが「銀行の土管化」です。
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