【銀行デジタル革命】19銀行が直面するジレンマ

銀行は、フィンテック企業が始めた新しい金融サービスを黙って見ているだけでは

「土管化」してしまうだけです。 

そうしたサービスに何らかの格好で参入しないわけにはいきません。

 銀行がフィンテック企業と連携するだけではなく、フィンテック企業を買収したり

自ら新会社を立ち上げたりする志向を強めているのは、そうした理由があるからです。

デジタル通貨の創設も、そうした流れの中にあると言えるでしょう。

しかし、参入すればジレンマにも遭遇します。

1つは、今まで言っていた手数料を失い失いかねないことです。

銀行がデジタル通貨を発行すれば、顧客利便性が高まったり、ATMを削減できたりして

経費削減にもつながるでしょう。

一方そのデジタル通貨がクレジットカードに変わって利用されるようになれば、

銀行預金を使った決済の1部を代替していくことになります。

その場合には、銀行は預金決済で得られるはずの手数料を失うことになるのです。

もう一つは、特定の業務分野に強いフィンテック企業との競争に身を投じることが、

銀行自身の収益基盤を揺るがし、自分で自分に構造改革を迫る羽目になってしまうことです。

 銀行の経営モデルはフルライン型と呼ばれます。

 多くの店舗とATM、巨大なシステムと大量の人と言うインフラを持ち、

個人から企業、公的機関まであらゆる顧客に対して融資を始めとする各種取引を行って

収益を上げてきました。

それに対してフィンテック企業がコストがかかるインフラを持たず、

銀行のシステムを1部利用しながら収益性の高いサービスに絞って提供する、

モノライン型のビジネスモデルです。

銀行も同様のサービスをする事は可能ですが、ビジネスモデル全体として

簡単にフルライン型を止めることができません。

多くの利用者がいるサービスを突然やめたり、取引先や支店や従業員を

急激に削減することができません。

銀行は自ら新規参入したサービスがたとえ既存の事業と競合しても、

これまでのフルライン型のやり方を急には代えられず、

得られた既存の収益基盤を自分で侵食していくことを

甘受しなければならない状況に置かれているのです。

それでも、従来の業務体系を変えないわけにもいきません。

新たな土俵での競争に力を注ぐほど、取引先や従業員といった

ヒト、店舗やATMやシステムといったものの構造改革を

大胆に行わなければならなくなると予想されます。

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