日本を始めとする先進国でモバイル決済の普及が滞っているのに対し、
1部の新興国でモバイル決済が急速に広まっている事実は、
モバイル決済の今後を占う上で、見逃せない観点です。
中国の事例には既に触れましたが、アフリカ大陸の新興国ケニアでは、
2015年6月現在で、携帯電話加入者の約76.8%がモバイル決済を利用しているとの
調査があるそうです。
ケニアでは「エムペサ」がよく知られています。
Mはモバイル、ペサはスワヒリ語でお金を意味します。
エムペサは携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使って
送金するサービスで、インターネットではなく、通常の電波を利用しています。
利用者は、身近にある、ペサの取次店でアカウント取得して、ペサの口座を開設し、
そこにお金をデポジットとして預けます。
後は、送金相手の携帯電話の番号と送金金額、暗証番号を入力した
ショートメッセージを、エムペサに送信するだけで、
自身のエムペサ口座から相手のエムペサ口座に送金することができます。
こうした簡易なシステムにより、銀行の利用率が低い地方に住む人や低所得者の間で、
エムペサの利用者は拡大していたと言われています。
ケニアでエムペサの利用者が急拡大した要因は、固定電話普及率が十分でなく、
携帯電話が爆発的に普及したことに加え、銀行の支店やATMが少なく
銀行サービスが行き渡っていなかったことだと考えられます。
社会インフラが未整備だったことが新しい技術を爆発的に普及させる原動力と
なったのです。
簡単に言うと、金融インフラを含め各種のインフラが充実している、
あるいはそこにすでに拒否が投じられている先進国では、
モバイル決済などの新しい技術がこのような速さで普及することは難しいと思われます。
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