現金利用には所得格差を拡大させると言う問題も含まれています。
銀行口座の口座管理手数料が諸外国に比べて非常に安価な日本は例外
と言えるでしょうが、多くの国では口座管理手数料が高額であるために
低所得者が銀行口座を持つことができず、それが所得格差の拡大を助長しています。
例えば米国では、銀行口座を持たない低所得者は賃金を小切手で受け取ります。
小切手を現金化するには手数料が必要です。
町の金融業者に高額の手数料を払うことも少なくないといいます。
賃金を銀行振込で受け取る人に比べ、小切手で受け取る人は不利益を被らざるを得ないのです。
世界銀行によれば、世界の成人の4割にあたる約20億人が銀行口座や
電子マネー持っていないため、様々な金融取引にアクセスできない、
いわゆるunbanked(アンバンクト)の状態にあるといいます。
それは途上国に限られた問題ではありません。
米国では15歳以上の1560万人が、EUでは5800万人がアンバンクト状態にあります。
審査に通らずに銀行から口座開設を拒まれるケースもありますが、
規定の残高を維持できないと口座管理手数料が高額になるため、
それを嫌うことが口座を持たない理由の1つのようです。
デジタル通貨が現金に代替されれば、このような不公平はなくなります。
キャッシュレス化は所得格差の縮小に貢献するとも言えるのです。
金融包摂の観点からも留意すべきことでしょう。
(包摂: 一つの事柄をより大きな範囲の事柄の中にとりこむこと。
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