【銀行デジタル革命】59コラム03キャッシュレス化を睨みATMを共通化

三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATM (現金自動預払い機)を共通化することを検討し始めました。

メガバンク3行のうち、2018年6月から1年ほどかけて口座管理などを担う

勘定系システムを次期システムに移行するみずほFGは、当初こそ加わりませんが、

作業終了後はこのATM共通化の協議に参加するとみられています。

メガバンク3行のATM設置台数は、三菱UFJ銀行が約8300台、

三井住友銀行が約6000台、みずほ銀行が約5600台、合計で約20,000台にものぼります。 

この先キャッシュレス化が進んでいけば、ATMの利用は減っていきます。

その中で、各行が自前のATMを維持していく事は、さらに大きな負担となります。

ATMの運営コストは、警備員や現金の輸送費等で、1台あたり月額数十万円とされます。

今までの自前主義を捨てて、相手行のATMを自行のATMのように

顧客が無料で使えるようにする一方、ATMの設置台数を減らしていけば、

顧客の利便性を損なわずにコストを削減することができます。 

一方でATMの運営費を賄うために、無料を止めて、新たに顧客の手数料の支払いを求める銀行も出てきました。

新生銀行はこれまで無料だったATM手数料の1部を2018年10月から有料化する計画です。

またあおぞら銀行も2018年8月から独自のATMを順次廃止して、

郵貯銀行のATMに置き換えていく予定です。

三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、2018年夏ごろをめどに、

ATM共通化に向けた課題を整理して、ATMの使用や手数料の分配の仕方等の詳細を詰める予定です。

できるだけ早い時期に、東京都内の1部地域で共通化の実証実験を行って、

顧客の反応を見極めたいとしています。

さらに両行は、ATMを他校の顧客に無料開放することにとどまらず、

将来的にはATM自体を共通とすることも視野に入れています。

これが実現すれば、ATMの開発や維持にかかるコストをさらに大幅に圧縮できます。

しかしこれにはまだ障害もあるのです。 

メガ三行で異なる通帳の仕様をどのように共通するか、

またメガ三行のATMの調達先メーカーはそれぞれ異なっているため、

これをどのように調整していくかが大きな課題です。

このような課題を抱えつつも、マイナス金利下での収益悪化やキャッシュレス化など、

大きな環境変化を踏まえて、ATM無料や自前主義から脱却しようとする動きは、

既に銀行業界での大きな潮流になりつつあります。

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