なぜ、コインチェック事件のようなことが起こったのでしょうか。
多くの仮想通貨取引所では不正アクセスを防ぐために、
外部からのアクセスを遮断したコンピューターでデータを保管するなどの安全策をとっています。
しかし、コインチェックは仮想通貨NEMについてその対応をとっておらず、
不十分なセキュリティー体制が不正流出を許したとみられています。
タレントを利用したテレビコマーシャルに多額の資金を投入し
利用者の獲得を図る一方で、セキュリティー対応を先送りしたとの指摘もあります。
金融庁が仮想通貨取引所の新規登録を認める際には「利用者保護措置」
「利用者が預託した金銭仮想通貨の分別管理」に加え「システムリスク管理」が審査されます。
システムのリスク管理が不十分であれば登録は認められません。
厳しい審査が取引所の安全性を担保するはずでした。
ところがコインチェックは未登録業者でした。
登録制度には抜け道があったのです。
登録制度を導入したにもかかわらず、未登録のコインチェックが取引所の運営を
続けていたことについて、金融庁は次のように説明しています。
「資金決済に関する法律の1部改正に伴う経過措置により、平成29年4月1日より前に、
現に仮想通貨交換業を行っていたものは、平成29年4月1日から起算して
6月間に登録の申請をした場合は、その期間を経過した後も、その申請について
登録または登録の拒否の処分があるまでの間、当該仮想通貨交換業を行うことができる」
つまり、「経過措置」を受け、登録申請中のいわゆる「みなし業者」の扱いで
取引所の運営を続けていたわけです。
金融庁の資料では、登録の申請から合否の判断までの期間はおおむね1ヵ月から
2ヶ月とされています。
コインチェックは2017年9月に登録申請していましたが、
申請から4ヶ月が経過した事件発生時点でも登録が認められていませんでした。
その理由は明確ではありません。
金融庁がコインチェックの登録を認めていなかったのは、
審査で指摘された不備が改善されていなかったからに違いなく、
ずさんなシステム管理を事前に把握していた可能性もあるでしょう。
それでも認可の決定をしなかったのは、業界最大手のコインチェックの取引所の閉鎖が
及ぼす社会的影響に配慮した面があったと推察されます。
今回の事件は未登録業者で起こった事件であるうえ、仮想通貨取引所の利用者に、
登録事業者であるかどうかを確認するように呼びかけていたため、
金融庁が世間から強いや批判を受ける事は無いかもしれません。
しかし、経過措置として未登録の仮想通貨取引所の業務が認められているために、
コインチェックは取引所の運営を続けることができ、
そこで事件が発生したと言う形を踏まえると、みなし業者と言う制度の是非、
未登録業者への監視や取引所全体に対する規制のあり方は再検討すべきです。
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