IMFは「ボラティリティーターゲティング投資戦略」の広がりや、
リスクを増幅している可能性があると指摘しています。
これは、ボラティリティー目標を設定して投資し、保有し金融資産のボラティリティーを
一定の範囲に収めることを目指す投資戦略で、実際にその戦略に基づいて
資金を運用しているファンドはたくさんあります。
ボラティリティーと投資の期待収益には概ね正の相関関係がありますが、
ボラティリティーの先行きを予想するのは投資収益を予想するほど難しくは無いため、
安定した投資収益を得るには優れた戦略であると説明しているファンドもあります。
この戦略に基づいて投資する、保有金融資産のボラティリティーが低下すれば、
投資家はときには借り入れ増加を伴いつつ、つまりレバレッジを高めながら、
保有するリスク資産を拡大していきます。
一方、一度ボラティリティーが上昇すれば、投資家はリスク資産を投げ売りして
債務を削減(デレバレッジ)をすることになる可能性があります。
資産の投げ売りはその価格を大きくを押し下げ、多くの投資家に損失を
もたらすことから、そのような戦略が金融市場不安定にさせ、
場合によっては金融システムの安定を損なう危険性もあるのです。
IMFによれば、ボラティリティーターゲティング投資戦略に基づいて
運用されている米国株式の規模は5000億ドルほどで、時価総額の2.5%弱と言うことです。
株式市場に占める割合は必ずしも大きくはありませんが、
IMFは投資家の保有資産及び債務削減が急速に進む局面での市場への影響力が大きいと
指摘しています。
ボラティリティーターゲティング投資戦略では、市場のボラティリティーが
低下している状況では投資家よりボラティリティーの高い金融資産への投資を
拡大することで、その金融資産のボラティリティー、
ひいては市場全体のボラティリティーをさらに低下させます。
逆にボラティリティーの上昇局面ではさらに上昇させる効果があるようです。
であるとすれば、ボラティリティーターゲティングに投資戦略は、
市場のボラティリティーの振幅を高めてしまっていると言えるかもしれません。
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