著者は疑っていますが、第二のプラス効果はマイナス金利政策の消費刺激効果を
高めることができることだと、一般には指摘されています。
この説を強く主張し、現金通貨の全廃を訴えているのが前述のロゴフ教授です。
「紙幣の廃止は、中央銀行が金利の不制約(マイナスにできないと言う制約)を逃れて
マイナス金利政策を導入するのに、間違いなく最も簡単で、最もエレガントな手法だ」と
いうのがロゴフ教授の主張で、「金融政策で有効性がなければ、
現金通貨の廃止をこれほど真面目には考えなかった」とまで、著書で述べています。
伝統的な金融政策は中央銀行が民間銀行に対する貸し出し金利を操作し、
銀行の預金金利や貸出金利、貸し出し量などに間接的な影響与えることで
経済効果を発揮します。
つまり、銀行制度を介して間接的に経済をコントロールしようとする政策です。
現在、欧州や日本で採用されているマイナス金利政策とは、
中央銀行が中央銀行当座預金の金利をマイナスにして銀行預金を定期に誘導することで
商品などを刺激しようとする政策ですが、マイナス金利政策の大きな障害となるのが、
金利がつかない現金通貨の存在です。
民間銀行は中央銀行当座預金を取り崩して現金で保有すれば、
マイナス金利の適用を介することができるからです。
この場合、マイナス金利が適用される中央銀行当座預金をゼロ金利の現金に換えて
保有するため、マイナス金利政策による銀行の収益悪化は緩和されます。
結果、銀行が預金金利を無理に引き下げて収益の回復を図る必要がなくなります。
預金金利が下がらなければ、消費者が銀行預金に回すお金を減らして消費に回す
インセンティブが高まりませんから、マイナス金利が経済に与える効果が殺がれてしまう
と言うわけです。
現金が全廃され、デジタル通貨にもマイナス金利が付されれば、
このようなことが起こりません。
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