【変見自在】ドイツは滅ぶか

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変見自在

ドイツは滅ぶか

ヒトラーが作った国民車フォルクスワーゲンの工場は戦後、ソ連の管理下に入れられた。

そうなれば満州、孫呉の火力発電所と同じに解体されてソ連に運び込まれ、廃墟だけが残るはずだった。

幸いワーゲンの高い完成度を知る英国が管理を変わって維持しし、戦後世界の国民車として普及した。

数年前、米環境団体が車の排ガス調査を始めいい方のサンプルにワーゲンを取り上げた。

日本車にしなかったのは白人国家国家のプライドせいもあった。

調査を委託されたウェストバージニア大は良さそうな測定機器を探していて

なんとスーツケース大の測定器があるのを知った。

これなら走行中の車の排ガスも測れるじゃないか。

かくて堀場製作所測定器はワーゲン以下の調査対象車に積み込まれ走行時排ガスの検査が行われた。

結果、停車状態の測定で一番クリーンな数字を出したワーゲンが走行時には

基準の40倍のNOXを出していることがわかった。

環境団体はすぐに米環境保護局(EPA)に通報した。

EPAが調査し、ワーゲンの制御装置に試験中はNOX排出を抑えさせる

チップが埋め込まれているのを突き止めた。

排ガス測定は通常停車状態で行われる。

それを見越してのごまかしだった。

EPAはワーゲン車にごまかしがばれたことを伝え、対処を求めた。

ただ世間には公表しなかった。

ひがみで言えば、これがトヨタ車なら善処を求める前に

「真珠湾並みのスニーキー(卑劣)」とか大騒ぎし、日本車排斥運動にもなっていただろう。

それほど卑怯な手法だった。

しかしワーゲンはなぜか対応しなかった。

1年経って頭にきたEPAが公表に踏み切り、ワーゲンの不正をなじり、天文学的数字の賠償を求めた。

厚顔のワーゲンもさすがにうなだれてリコールと賠償訴訟の対応に追われたが、

思いはわざわざ「小さな測定器」を作った日本への恨みに収斂する。

排ガス測定施設はガソリンスタンド並みに大きいのが世界の常識だ。

そのでかい施設で検査を受けるのが形になっていた。

ワーゲンはそんな世界常識を踏まえてずるをやった。

どの国でもインチキはバレなかった。

みんなが今の測定方法で満足しているのに、なんで小さい測定器を作ったのか。

堀場が余計なことをしなければ誰も走行時の排ガスを測ろうなどと思いはしない。

ドイツ人は日本が嫌いだ。

ロシア人は準白人だから日露戦争で日本に負けてもそう気にはしなかった。

しかし第一次大戦の青島攻略戦でドイツは完膚ない負けを喫し、要塞にいた全員が捕虜にされた。

生粋の白人国家と言うプライドはズタズタだ。

おまけに野蛮な日本人は彼らをひどい目に遭わせるどころか楽器も所帯道具も何でも

収容所にもっていくことを許した。

ドイツ人にはその寛大さがむしろ不満だった。

慈悲と寛容は優れて白人キリスト教徒のものであり、それを日本人から施されたのは屈辱でしかなかった。

板東収容所で捕虜が第九を演奏しました、クッキーも焼きましたと言う話は今も聞きたくないのだ。

その腹立ちもあったから支那軍に独軍の制式銃とヘルメット与え、蒋介石を煽って、

上海の日本人租界を攻めさせてもいる。

そこで今度は大黒柱ワーゲンの不正が暴かれた。

出費は3兆円にも上る。

また日本人だ。

どれも悔しいかドイツ人は語るわけもないが、代わりにドイツ嫌いのフランス人が行動でそれを示した。

あの騒動の最中、仏首相がわざわざ京都の堀場製作所に足を運んで堀場会長を笑顔で抱きしめたのだ。

表向きは同社のフランス進出のお礼だそうだが、首相の挙措【※1】はまるで国家功労勲章授与だったと

外野が言う。

ちなみに首相のはバルス。

宮崎駿の「天空の城ラピュタ」の中で国を破壊する呪文として王女シータが口にする言葉と同じ。

フランスの積年の思いが込められていた?

──────────注釈

【※1】「挙措」は、立ち居振る舞いのこと。よみは「きょそ」

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