──────────ノンバンクに弱点集中
韓国メディア(ヘラルド経済) (2015年6月1日付)は、貯蓄銀行の融資急増について次のように伝えた。
「貯蓄銀行は2011年当時、営業停止事態に追い込まれていた。
それが最近家計への融資が急激に増加して注目されている。
韓国銀行によれば、3月末現在の貯蓄銀行の家計向けの融資残高は、11兆3093億ウォン(約1兆2600億円)。
昨年末より10.0%増加し、過去最高を記録した。
これは、貯蓄銀行がケーブルテレビを中心に、広告とマーケティングを積極的に行った結果である。
他に、貸し出し市場(ローン市場)の場合が大きくなったことも、このような結果をもたらした。
2011から2012年当時貯蓄銀行が経営不振から相次いで営業停止に追い込まれていた。
貸出金利は、銀行から見て後述のように4倍も高い。
これからわかるように、信用不良者への安易な貸し出しが増えて経営破綻したものである。
その後、不良債権処理が進んで経営を再開させている。
最近の基準金利低下を背景に、営業を活発化させ警戒感を持たれている。
かつて、日本の「サラ金」は高利で安易な貸し出しによって「多重債務者」を生み出し社会問題になった。
韓国の「貯蓄銀行」も、「サラ金」と同じような問題を抱えている。
「5月の貯蓄銀行の一般融資利息(新規取り扱い額基準の加重平均)は、年間11.73%で、
銀行の家計融資利息は年間2.96%で4倍近くとなった。
韓国の金融監督院の調査結果によれば、個人の信用融資規模が大きい25カ所の貯蓄銀行中、
消費者金融系などの20カ所は、平均30%の高い利息を課している。
こうした状況に対し、貯蓄銀行の利息上限を20%、一般貸付業界を25%にし、
差別化をはかろうとする法案が国会に出されている」貯蓄銀行は、
2013年末に21.8%もの不良債権比率を抱えていた。
それを、2016年末までに11.7%まで下げるように、不良債権を一括売却している。
その結果、2015年3月末現在の延滞率が13.4%、不良債権率は14.4%まで改善したと言う。
だが2013年末21.3%もの不良債権比率を抱えた事実は消えない。
それほど、杜撰であった。
この形では、貸した側も借りた側も「共倒れ」である。
韓国経済の金融底辺が、いかに腐食しているかを物語っている。
2015年3月末現在、貯蓄銀行の家計債務は11兆3093億ウォン(約1兆2600億円)である。
2014年末に比べ1兆239億ウォン(10.0%)、1年前に比べると2兆3381億4 (26.1%)も増えている。
2011から2012年、貯蓄銀行が相次いでは経営破綻した当時の10兆ウォン台を既に上回る水準だ。
貯蓄銀行の家庭向け融資増加は、住宅を担保とする住宅担保ローンではない。
無担保融資である。
それだけに、不良債権化が懸念材料だ。
政府の家計債務緩和策である「安心融資制度」の実施などで、低リスクの住宅担保ローンは銀行に集中した。
その結果、貯蓄銀行など高金利のノンバンクでの無担保融資が増えたと言う側面もある。
現在再び、貯蓄銀行が金利低下をチャンスに、積極的な貸出攻勢をかけている。
確かに、返済を考えると問題含みである。
ただノンバンクの高金利貸し出し体質が放置されてきたのは政府の怠慢である。
貸出金利問題は、これから国会で審議すると言うから驚きである。
あまりにも対応が遅すぎるのだ。
2011から2011年当時、貯蓄銀行が破綻した時破綻した時点で貸出金利規制を行うべきであった。
韓国金融市場の末端は、ノンバンクに象徴されるように弱体そのものだ。
一国経済の体質は、金融システムがいかに強靭であるかにかかっている。
こうした中で、物価状況も低迷したままである。
金融が円滑でなければ、経済は活性化しない。
韓国が、金融弱体=低物価=低成長と言う悪循環に入っている事は疑いない。
「朝鮮日報」(2015年6月2日付)は、次のように伝えた。
「韓国統計庁が6月2日発表した5月の消費者物価は、
前年同月比0.5%上昇した。
上げ幅は6ヶ月連続で0%台にとどまっている。
タバコの値上げによる物価上昇効果を除くと、4ヶ月連続で物価がマイナスである。
上昇率は、2013年10月(0.9%)の後、13ヶ月連続で1%台を維持。
昨年12月に0.8%に下落してから0%台が続いている」
消費者物価状況から判断すると、韓国は2015年初めからデフレ基調に入っている。
政府はそれを認めずにきた。
明らかに対応が遅れた。
すでに明らかにしたように、韓国の金融システムは弱体である。
なす術がないのが実態だ。
金利を下げればノンバンクの貸し出しも増えて、「家計倒産」の原因を作るようなもの。
韓国経済の金融制度の「設計図」そのものが狂っていると言うしかない。
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